Golden Boy 2/K ページ14
二宮が私達を金色に輝いたその瞳に映したのと同時、自分達のいたハズの風景が切り替わった。
「なに?なんなの?!」
漆黒の夜に赤く滲んだ月だけがぽっかりと浮かんで、足元は粘性の高い土に絡め取られる。
瞬間、背中に強烈な恐怖と共に冷たいモノが走った。
黒髪の長髪の男が背後から私を抱く。
真っ黒い髪に・・・
頭には長い角が生え・・・・
真っ黒な翼をはばたかせ
私を白い腕でいだく。
・・・堕天使ルシファー
穢れを纏い天から憎まれた
堕天使が私を優しく抱く
それは
死のイメージ
私を『死』そのものが
そっと包みこむ
・
・
「いやぁぁぁっっ!!!!」
「死にたくない!!!!
助けて・・・!!助けてぇ!!!!」
オペレーターをしていた部下達の絶叫を聞きながら、私の頭に『死』という文字が躍る。
・
・
・・・・死ぬのだろうか?
私はここで死ぬのだろうか?
そう、ここで私は終わるんだわ。
だって私・・・・・・
今、『死』そのものに
抱かれているんだもの・・・・。
・
・
「麗子ちゃん!!!!!!!」
小城の絶叫が私の耳に響きハッと我に返った。
死の幻影から逃げ出せれたのと引き換えに、強烈な吐き気と頭を締め付けられるような感覚に襲われる。
小城はガラスの欠片を手に取ると、自分の太ももを引き裂いた。
「・・・・くっ!!
壊れてないでくれ!!!!」
小城は傷ついた足を引きずりながら立ち上がり、火を噴いて全壊した計器にある赤いボタンを押した。
・・・催眠ガスが二宮と大野のいる部屋を満たし、ガスに包まれた彼らはそのまま床に体を臥す。
「麗子ちゃん、ハンカチかなにかで口元を押さえろ!!
こっちにガスが押し寄せてくるぞ!!!」
急いで自分の口と鼻をハンカチで覆う。
白いガスの向こう側で二宮と大野が倒れているのを確認すると、波が引くように私達は死のイメージから解放された。
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作者名:あさり | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/a-ground/
作成日時:2012年3月26日 22時