五条家の落し物4【呪術廻戦】

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【みるたそさんリクエスト】 伏黒side 光を背に2


＊


少し、後悔した。

イルミネーションに照らされる彼女はとても綺麗で、同時にとても儚く見えてしまう。

きっと俺には手が届かない。
相手が五条先生だから。
最強を名乗るあの人には、実力も、彼女の心も奪えないだろう。


A
「ありがとう、恵。」
「綺麗だね。」


イルミネーションに照らされ、ふわりと笑うAにどうしようもなく触れたくなった。
綺麗なイルミネーションの中に佇むAは、いつもより一層美しく飾り立てる。

その美しい景色とは反対に、俺の心はドロドロとした感情が渦巻く。
この綺麗な人を俺のものにしたい。
五条先生なんか一切眼に入らないように、彼女の全てを愛して愛して、愛したい。


A
「恵、見て！」
「今日は月が綺麗だよ。」


そう言って、月を見上げてキラキラと笑う彼女の横顔にとうとう理性が負けた。


伏黒
「A。」


彼女の身体を抱き締める。


A
「恵？」


とくん、とくんと鳴る彼女の鼓動とは反対に、俺の鼓動は随分と五月蝿い。

俺を不思議そうに見上げるAの顔が凄く愛おしくてたまらない。

その綺麗な眼に俺を写して欲しい。
五条先生だけでなく、ほんの少しでいいから俺も。

諦めようとしたんだ。
けど、駄目だった。
Aが愛おしくてたまらない。
その感情が五条先生の為だったとしても、俺は諦めたくない。

彼女の唇にそっとキスを落とした。


A
「…へっ。」


伏黒
「お前を諦めない。」
「五条先生のものだとしても、絶対に。」


吐息がかかる距離で見る彼女はやっぱり、綺麗だ。
長い睫毛に縁取られた、黒色の瞳。
眼帯の下の眼はどう揺らめいているのだろうか。


A
「え、…え、……えぇ！？」


状況を理解しただろうAは顔を真っ赫に染めて、一目散に逃げ出してしまった。


伏黒
「…やり過ぎたか？」


その後ろ姿を見て、五条先生に対してほんの少しの罪悪感と、Aをまた困らせてしまったという後悔。
その2つが俺の心にのしかかった。


＊


A
「め、恵が…！キスした！？」

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