69 - 本編 ページ9
【伏黒恵の覚醒5】 どうする自分
＊
くそ、くそくそくそ。
この状況どうすればいい。
チラリと背後に匿っている恵を見るが一向に起きる様子がない。
私を庇って強く叩きつけられた恵。
出血もしているし、生きているかどうかも怪しい。
A
「恵！！起きろ！！恵っ！！」
声をかけ続けろ。
それが今私に出来る唯一の事だ。
＊
この呪霊、動きが早い。
ついて行くのにやっとだ。
呪霊
「〜〜〜〜〜〜。」
息を荒げ、呪霊の攻撃を必死に防ぐ私を見て楽しそうな声を出している。
私を完全に舐め腐っている。
全く、自分の術式が嫌になる。
相手が術式を使用しない限り、私の術式は意味を成さない。
コイツのようなただ単純な呪力の放出だけでは、私の術式は無意味だ。
体術で対応しなきゃいけない。
恵をずっと庇いながら戦うのは限界がある。
A
「早く起きてよ…っ！」
目の前に迫る呪霊に思わずそう叫んだ。
＊
刀は早々に弾かれ遥か遠くの壁に突き刺さる。
ナイフで応戦するも、正直スピードだけではどうしようもない。
先程の攻撃で抉られた肩が鋭く痛む。
何かコイツを祓えるような強力な決定打が必要だ。
呪霊にふっ飛ばされながらそう考える。
A
「クソッ！」
ゴロゴロと情けなく地面を転がる
……もしも、私が悟みたいに強ければ。
そしたらこんな呪霊、一瞬で祓えてしまうだろう。
A
「…そんなもしもの話なんてどうでもいい。」
もっと…もっとだ、もっと力を出せ！！
伏黒
「…影の奥行きを全て吐き出す…。」
「具体的ななアウトラインは後回し。」
「呪力を練ったそばから押し出していけ。」
A
「…恵？」
後ろで何かを呟く恵に気づく。
あぁ、良かった生きてた。
伏黒
「やってやるよ！！」
「「領域展開」」
「「嵌合暗翳庭」」
そう言った瞬間、恵と呪霊の周りには領域が広がり、私を押し出す。
A
「恵っ！！」
咄嗟に手を伸ばしたが、恵の領域には入れなかった。
＊
暫くすると呪霊の気配が消え、恵の領域が解かれ始めた。
その領域が解けた瞬間、恵はその場に倒れ込んだ。
A
「恵っ！」
慌てて近寄るが、息はある。
手には宿儺の指を持っていた。
きっとさっきの呪霊の核になっていたものだ。
こっちはなんとが終わったが、悠仁と野薔薇は大丈夫だろうか。
眠りこけている恵の頭を膝に乗せ、2人の帰りを待つ。
A
「2人共大丈夫かな…。」
＊
後は待つだけ。
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作者名：mito | 作成日時：2021年1月17日 0時
