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96 - 番外編 ページ36

【七海建人の溜息】 同行





A
「建人さんこの人どうにかして。」


七海
「無理ですね。」


サングラスの奥の瞳はきっと呆れ返っているだろう。
私も自分の先輩がこんなデレデレしてたらやだもん。
なんならドン引くレベル。


A
「朝からこの調子でもう疲れたよー。」
「建人さん助けてー。」


高い背を屈め、ベッタリと私に抱き着く悟。
朝からずっとこの調子である。
いい加減やめていただきたい。


A
「建人さぁん〜。」


七海
「では、写真を撮って警察に突き出しましょうか。」


五条
「七海それはダメ。」
「僕真面目に捕まる気がする。」


A
「わかってんならやめてよ。」


今日は建人さんの任務に同行するだけだからまだいいけど、明日は高専行くからずっとこの調子だと困る。
野薔薇とか真希さんに殺されてもおかしくない。
いや、むしろボコボコにして貰おうか。


七海
「そろそろ行きますよ。」
「五条さんは自分の任務に行ってください。」


A
「そーゆー事だからっ!」


悟の腕の中から無理矢理抜け出し、建人さんの後ろに隠れる。


A
「ばいばーい。」


建人さんの後ろから笑顔で手を振ってあげた。


五条
「A〜…。」


叱られた子犬みたいにシュン…ってするな。
28歳だろうが。
可愛子ぶるのはやめたまえ。





七海
「正直驚きました。」
「まさか本当に付き合うとは。」


A
「私もびっくりー。」


最初はこんな事になるなんて全く想像もつかなかった。
人間って変わるもんだねー。


七海
「…まさか無理矢理じゃないでしょうね。」


A
「…残念ながら、合意です。」


ギョッという顔をされる。
聞いたら誰でもこういう反応するだろうな。


七海
「…何か酷い事でもされたら言ってくださいね。」


そっと頭を撫でられる。
建人さんは私が高専に引き取られた後に悟が紹介してくれた人だ。
それからちょくちょく交流があって、たまに会った時は可愛がってもらっている。
素っ気なく見えるけど、これがこの人なりの優しさだ。


A
「よーし、任務頑張っちゃうぞー!」


七海
「あなたはサポートに徹して下さい。」


A
「はーい。」


七海
「それでは行きますよ。」


颯爽と歩き出す建人さんの後ろを慌てて追いかけた。





五条
「あー、七海にA取られたー。」

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作者名:mito | 作成日時:2021年1月17日 0時

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