93 - 本編 ページ33
【気持ち4】 答え
＊
ふと、視界に入るキラキラと輝く銀色の指輪。
起きてからもずっと付けっぱなしのままだ。
…悟はこの意味をわかってくれたのだろうか。
五条
「……A？寝た？」
ピクリともうごかない私が気になったのか、悟が声をかけてきた。
A
「起きてるよ。」
そっか。と、言って私に笑いかける悟。
手を伸ばして悟の服をぎゅっと握りしめる。
五条
「A？」
ちゃんと言わなきゃ。
戦ってる時よりも心臓がバクバクとうるさい。
頑張れ自分。
A
「…あ、あのさ！」
ベットから勢い良く起き上がり、寝っ転がっている悟に声をかける。
五条
「ん？」
私が声をかけると、悟も同じように起き上がり、じっと私の眼を見つめる。
鮮やかな蒼い眼に捉えられる。
その眼が私を捉えて離さない。
いつの間にか逃げれなくなっていた。
A
「…指輪、わざと外さなかったんだけど…。」
頑張って捻り出した声は微かに震えていた。
我ながら恥ずかしい。
私の言葉を聞いた悟は眼を見開いて驚いていた。
五条
「それって…。」
A
「たぶん……、そういう事。」
恥ずかしさのあまり悟から眼を逸らす。
A
「…最後に思い浮かんだのが悟だった。」
「悟の事、予想以上に大切にしてたみたい。」
「…今まで返事出来なくてごめんね。」
「この気持ちがなんなのか、ずっと考えてたんだ。」
恵に言ったことは嘘じゃない。
大切に思うのが怖いのは事実だ。
でも、この人ならきっと大丈夫。
この人なら、ずっと傍にいてくれる。
そう確信したその日から、どうしようもなく悟に惹かれていった。
ゆっくりと眼を開け、彼の眼を見つめる。
彼の眼に写る私は、とてもとても愛おしそうな表情をしていた。
それが答えだ。
A
「悟、好きだよ。」
＊
たった一言。
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作者名：mito | 作成日時：2021年1月17日 0時
