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71 - 本編 ページ11

【稽古】 傍にいてよ





そこそこの大怪我をした私を待っていたのは悟のベッタリくっつき攻撃だった。

あ、おい、野薔薇達なんて顔でこっちを見るんだ。
助けてくれ、私は被害者なんだぞ。
おーい…置いていかないでくれー。





硝子さんの治療を受け、無事に家に辿り着いた。
……辿り着いたはいいんだけど、


A
「…いつまでそーやってくっついてるつもり?」


五条
「ずーっと。」


A
「お風呂入りたいんですが。」


五条
「いいよー、一緒に入ろっか。」


A
「しばき回すぞ。」


会ってからずっとこの調子である。


A
「いい加減離してよ。」
「疲れたんだけど…。」


五条
「…離したらどっか行っちゃいそうじゃん。」


A
「……意味わかんねー。」


悟の手を無理矢理解き、お風呂場へと駆け込む。


A
「入って来たら殺すからな!大人しくしてろ!」





お風呂から出たら夕食が用意されていた。
…この人料理とか家事もちゃんと出来るのムカつく。


A
「いただきまーす。」


五条
「おいし?」


A
「…美味しい。」


悟が作った料理をパクパクと食べ進めていく。


A
「…悟のは?」


五条
「僕はいいや。」


A
「あっそ。」





五条
「僕はAの傍にいるよ、ずっと。」
「だからAも僕の傍にいてよ。」


ベッドの中でボソリと呟いた。
悟の顔を見れば少し寂しそうな顔をしていた。


A
「…なに、急に。」


五条
「A最近無茶し過ぎ。」
「弱いんだから無茶しないの。」


A
「余計なお世話。」
「……私はもっと、もっと強くなりたい。」
「悟みたいに。」


私が悟みたいに強くなれば失う事もなくなるかな。とそう言うと、


五条
「…自分だけが強くても、失う時は失うもんだよ。」


何かを尊ぶように眼を伏せ、悲しそうな顔をする。
きっとこの人も何かを失った事があるんだろう。
私よりも12年も長く生きていれば有りうる。


A
「よしよし。」


悟の柔らかい髪にそっと触れる。
いつも彼が私にやるように優しく優しく撫でる。
すると彼は満足そうに笑い、抱きしめてきた。


五条
「そーゆー事するから余計に好きになるんだよ。」


A
「えっ。」


五条
「でもAは弱いんだから無茶しちゃダメ!」


A
「うるさい、お節介。」





じゃあ稽古つけてよ。

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作者名:mito | 作成日時:2021年1月17日 0時

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