ただ愛する仲 Ⅱ【Hikaru.I】 (ページ37)

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次の慰霊碑は山の中。

照「なぁ、道間違えた？」

『合ってる。ここを真っ直ぐだよ』

照「こんな山奥に慰霊碑あんの？
　誰も見に行く訳ねぇじゃん、馬鹿だ」

辿り着いた慰霊碑は、草に覆われていた。

1989年6月5日

バス転落事故慰霊碑

『確かに、誰も来てないみたい…寂しそう。
　これは間違ってるね』

照「あぁ。こんなん慰霊碑でもねぇだろ」

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事務所に残ってデザインを考えても、良いのが浮かばない。

照「わっ！」

『っ！？…びっくりした、いつ来たの？』

照「今さっき」

『何しに？』

照「俺ら、慰霊碑の意味を履き違えてた」

そう言うと、遺族の名前を次々と述べた。

照「彼らはどんな奴だったかな。
　住所や仕事…年齢は？人の親？子供？」

彼らがどんな人だったか、
それが原点だと言いたいんだろう。

照「誰かに見せるための慰霊碑じゃない、
　俺たちがやるべきことをしよう」

『…難しそう』

照「簡単だったらおかしいだろ」

『そっかぁ…』

照「名簿に住所はあるか？……おーい、」

彼の考え方は素敵だ。

『…そんな考え方が出来るなんて、立派な人。』

照「っ、いいから見せて」

私たちがすべきこと。

忘れないこと。

A 南月。

12歳、△△小学校6年生。

女優を夢見た…私の妹。

照「まぁ、一緒に頑張ればなんとかなるだろ」

少し頼りがいのある彼と、2人なら…？

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