ただ愛する仲 Ⅱ【Hikaru.I】 (ページ11)

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A side

『もう遅いよ…』

雨予報だなんて言ってなかったし、土砂降り。

彼が着ていた上着を脱いで、無言で渡されたけど
もう十分に私も濡れている。

一応羽織るけれどほぼ意味ないだろう。

穴に落ちた時に足をぶつけたみたいで歩きにくいし。

照「ん、」

『え、ちょ…』

照「借りは返したからな」

次は彼が付けていたヘルメットを
私に被せてきた。

サイズが大きくて、前が見えない。

『…借り？』

照「怪我した俺を助けてくれただろ」

『知ってたの？
　じゃあ…バイクが事故を起こした時も？
　何で知らない振り！？』

照「足、歩けそうだな」

『ちょっと待ってよ、』

びっこを引きながら歩いているから
彼のあとを追うことで必死。

事務所に行くまで追いつけなかった。

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蓮「Aちゃん、…大丈夫？」

『うん、平気だよ』

心配そうに顔を覗く。
ついていかなかったことに責任を感じているらしい。

外に出てしまった。

照「その格好で帰んの？」

鼻を掻きながら、パーカーを貸してくれた。
丁寧に事務所のドアを閉めて出ていった。

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