ネージュに染まれ (ページ19)

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雲の中で沈むページ19

『気持ちいいななかなか』

リビングの奥

吹き抜けの広い中庭は居心地がいい

ハンモックに揺られながら空を見上げて目を閉じた

「Aアイス食べる？」

顔を見なくても声だけで誰か分かってしまう

慣れって怖い

たかが1週間

されど1週間ってやつ？

『うん。ふっかもおいでよ』

振り向いて笑えばふっかは頭をかいて誰かに見つかったら殺されそうなんて言いながら私の隣へ来るんだ

深「Aさなんで家賃下げた？」

ふっかはアイスを頬張りながら決して私の顔は見ずに呟いた

あの人から私へここの所有者が変わったあと私はすぐにここの家賃を下げた

そんなの気にしなくていいじゃん

『別に？お金に困ってないし』

アイスを一口かじればミルクの味が口の中に広がった

深「でもさ、安すぎるよ」

そんなこと考えなくていい

深「気つかってる？」

あ、そういうことか

真っ直ぐ前を向いているふっかを見つめて次の言葉を出したのは

なんでだろう

『入居者の情報はもらってたのは事実』

深「うん」

『ラウちゃんのみんなで払ってるんでしょ』

深「うん」

『子供が大人に気を使う必要も子供に負担を背負わせる必要もその分を周りの人間が背負う必要もないと思ったから』

深「え？」

『背負わなくて解決できるなら背負う必要なんてないって思ったから』

ふっかは私の目を見つめると優しい顔で笑ってみせた

深「俺らに興味があったんだねAは」

ゆっくり伸びてきたふっかの手は優しく私の頬に触れた

『どんな大人なんだろうって思っただけだよ私とは違うと思ったから見て見たかったの』

そう私は君たちを直接感じてみたかったんだ

汚い世界でこんな風に生きる大人に触れてみたかったんだ

深「Aは優しいね」

綺麗ごと言わないでとか

何も知らないくせにとか

そんな捻くれた言葉が口から出なかったのは

ふっかの手がとっても温かかったから

その温かさが嫌いじゃなかったから

深「大丈夫俺らが愛してあげるから」

ふっかの肩にゆっくりおでこをのせたのはふっかの目に映る自分が嫌いじゃないと思ったからだ