こんなにも手離せない/gtmn ページ6
俺は、彼女に別れを告げた。
ただ俺は今も彼女のAのこと、出会った頃よりも比べ物にならないくらい愛している。
徐々に冷たくして気付かせてやれる男は優しい、けど俺には出来なかった。
恨んでもいい、怒ってもいい。
ただ嫌われたくはなかった。
俺のエゴで彼女を酷く傷付けることも俺はわかっていたのに。
別れようと一言告げた俺に恨み言ひとつ言わないAは縋りもせず涙をギリギリのところで我慢しながら俺に微笑みかけてくれた。
「もう少し……出会うのが遅ければ、良かったね」
俺は何も言えず溢れそうになる涙を我慢して彼女をコーヒーショップに残しひとりで外に出た。
Aとはかなり歳が離れていたけれど奇妙な縁で結ばれて付き合う形となった。
優しい子だった。
素直で物わかりの良い子で、適度にワガママも言えて……離す気なんてなかった。
それでもAはこれから先の未来、無限の可能性が広がっていて俺の存在のせいで何かを諦める選択をして欲しくなかった。
きっとAはその場に立たされた時に迷わず俺を選ぶこともわかっていた。
俺はAと違って素直じゃない。
そんなこと「言えば」済む話で将来を左右する立場に立たされているAを支えることもせず、逃げた。
そう、俺は逃げたのだ。
捨てられることが怖くて、自分から逃げて、最愛の人を傷付けた。
「こんなん全然大人じゃねーわな」
呟きながら俯くとぽつぽつとコンクリートが黒に染まっていった。
雨は降っていない。
これは俺の涙だ。
道中だと言うのに声が我慢出来ないくらい涙が出てきた。
焦りと涙のせいで頭がガンガンしていて周りがあまり見えていなかった俺の身体に人が体当たりしてきた。
倒れそうになったけれど体当たりした人を何とかを抱き留めた。
「こ、こんなとこで奇遇ですね」
その人は涙で顔をぐちゃぐちゃにしながらも笑ったAだった。
俺の顔を見ると慈愛に満ちた瞳へと変わりあははっと声に出して笑いだした。
「諦めきれないんでお試しでいいから付き合って貰えませんか?」
それは俺とAが付き合いだしたキッカケのAの言葉であの時と違う状況と言えば俺もAも泣いていて離さないとばかりにお互いの身体を掴んでいることだった。
「何も諦めないでAの未来選べる?」
「選んでるから追いかけたよ」
っと、まあ、これが俺と嫁の馴れ初め〜第2章〜ですけど続き聞きます?
ちなみに第3章は俺の嫁への愛が9割だけど。
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luco(プロフ) - パンださん» パンだ様、コメントありがとうございます!読者様の楽しみになれて嬉しいです。今後もマイペースになりますが頑張りますのでこれからもよろしくお願いします! (2021年3月30日 2時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
パンだ - めちゃくちゃ面白くて楽しませて貰ってます!更新頑張って下さい! (2021年3月28日 23時) (レス) id: 0ce8abb0bc (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - ららさん» らら様、コメントありがとうございます!lucoを知って頂いた上に全作品お読み頂けて嬉しいしかないです!微微調整しながら今後もマイペースに更新していくのでこれからもよろしくお願いします\(^^)/ (2020年2月23日 1時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
らら - 最近、lucoさんの事を知って今めちゃめちゃハマってます、!!lucoさんが書かれた作品全部読ませて頂きました!!きゅんきゅんして幸せです!笑 これからも頑張ってください!応援してます!! (2020年2月23日 1時) (レス) id: 55f78e88a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:luco | 作成日時:2020年2月11日 1時