似たものカップル/fj ページ19
コロンと机に転がされたチロルチョコはいちご味だった。
「クラス中に配布してる暇あんならあいつにやれば?」
紙袋を乱雑に開いて口に放り投げると教室の扉の向こうで何やらギャンギャン騒いでるフジを指差す。
「個人的じゃなくて女子全員からね」
「ケチくせ〜」
ケラケラ笑う俺に義理チョコを渡し終えたAはキヨに渡せたらひと仕事終えたって感じと言いギャンギャン騒ぐうるさい原因の元へと足を運んだ。
ちょうど休み時間で暇だしからかいついでに俺もその後を追った。
「フジくんうるさいってば」
「Aからのチョコを独り占めしたい俺の純粋な気持ちの昂りどうすればいいのさ!」
「もう食べちったからそれは不可能」
「キヨお前は許すまじ」
火に油注がないでよと溜息を吐いたAの持ってる紙袋の底には綺麗な紫色のリボンでラッピングしてある箱が俺の身長の高さの目線からは見え隠れしていた。
つまり当然フジからも見える訳だけどこいつは俺の口の中にあるチロルチョコしか見えていないようだった。
「まあ、いいや仲良くやれよ」
「俺は良くないんですけど?」
「そんな女々しいこと言ってる暇あんなら逆チョコのひとつでも贈ってやれ、俺は恋文書くのに忙しーの」
フジとAは目を見合わせて「「キヨがラブレター?」」と言って爆笑し始めた。
ジロと睨みつけるとふいっと視線を外すタイミングまで同じとはカップルが似ると言う迷信はあながち嘘ではなさそうだ。
「とは言いつつもちゃんと私も正真正銘の本命チョコ用意したからね」
「ほんと!?」
「私はフジくんの何?」
「世界で1番可愛い彼女です!」
満点だからラブレターもつけてあげようとラブラブカップルの反吐が出る甘さを俺はなぜ見せ付けられているのやら。
からかおうとしたのが仇となったのか、ちょっと納得いかない。
すると廊下の奥から「フジせんぱ〜い♡」と黄色い声が聞こえてきた。
……あれは体育祭で応援団やった時に一緒だった1年の奴らじゃん。
見るからに義理だけど渡されたチョコを鼻の下伸ばして受け取ってやがるのを見てる俺と、フジ曰く世界で1番可愛い彼女とやら。
とばっちりが飛んで来ないように俺はゆっくりと1歩下がると案の定フジには愛の鉄拳が下っており泣き叫んで走り出したAを「俺が愛してるのはAだけだよ!?」と追い掛けるフジの大声が廊下中に響き渡っていた。
……やっぱどっちも似たような思考な訳だと思いつつ俺はメモにペンを走らせ始めた。
似たものカップル/fj→←ここはひとつ勇気を出す!/uszw
281人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
luco(プロフ) - パンださん» パンだ様、コメントありがとうございます!読者様の楽しみになれて嬉しいです。今後もマイペースになりますが頑張りますのでこれからもよろしくお願いします! (2021年3月30日 2時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
パンだ - めちゃくちゃ面白くて楽しませて貰ってます!更新頑張って下さい! (2021年3月28日 23時) (レス) id: 0ce8abb0bc (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - ららさん» らら様、コメントありがとうございます!lucoを知って頂いた上に全作品お読み頂けて嬉しいしかないです!微微調整しながら今後もマイペースに更新していくのでこれからもよろしくお願いします\(^^)/ (2020年2月23日 1時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
らら - 最近、lucoさんの事を知って今めちゃめちゃハマってます、!!lucoさんが書かれた作品全部読ませて頂きました!!きゅんきゅんして幸せです!笑 これからも頑張ってください!応援してます!! (2020年2月23日 1時) (レス) id: 55f78e88a7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:luco | 作成日時:2020年2月11日 1時