きみと生きてくための約束/rt ページ1
電車の窓から眺める風景が子供の頃から好きでそれはある程度齢を重ねた今になっても変わらなかった。
だからか、
「あ、雪……」
白くひらひらと舞う小さな雫に周りより少しだけ早く気付けた。
家を出る時に吐く息が白くてマスクをした私に彼は「気い付けて行ってきや」と言ってくれた。
母に子供の頃「息が白い時は気温が氷点下なんだよ」と教えられ信じきっていた私。
初めて会った時に自慢気にその間違った知識を披露した私にそれまで興味ありませんみたいな顔をしていた彼が目をまん丸くしてから顔をくしゃくしゃにして笑った顔、昨日のように思い出す。
1週間後、その彼、レトルトと私は結婚する。
これは結構周知のこだがレトルトは意外と人狼ゲームが強い。
巧みな話術で人の気を逸らして自分の存在を多数派に塗れさせるのが上手だ。
だけど感情が顔に出ない……訳ではない。
と言うか普通の暮らしだと逆にわかりやすい方だと思う。
だから普通に一緒に暮らしているとそわそわしたり緊張したりと言ったのが手に取るようにわかる。
「何か緊張してる?」
記念日に珍しくホテルの上階レストランを予約したと言うレトルトがまだ時間の3時間前だと言うのに既にスーツを着てそれはわかりやすくそわそわしていた。
「へぁ?!……し、しし、してへんよ」
してるじゃんと言う言葉は飲み込んでふーんと流してひと休みしてから緊張してるレトルトの気を紛らわせてあげよう先日買い与えてくれたシックなドレスで身を包んで「どーだ」とわざとらしくウインクをキメると時間差で頬を赤らめたあと「は?」と氷点下な瞳を贈られた。
「感情迷子になってるけど」
そう言うとちょいちょいと手招きされて近くに寄るとラグに胡坐を書いた足の隙間に座るよう促された。
「皺になるよスーツもドレスも……」
戸惑ったが「早く」と腕を掴まれたら座る選択肢しかなくちょこんと座ると後ろからぎゅーっと抱き締められた。
首筋に埋もれたレトルトの息がかかる。
前を見るとそれまで寝てた猫が起きてこっちを真っ直ぐ見てから欠伸をしてどこかへ行ってしまった。
「どしたー?」
抱き締められた腕を摩ると小さな声で「……結婚して」と言われた。
「え?……いや……はい?」
「だめ?」
「今?」
「好きが溢れて止まらんくなった、もう離す気ない」
お誂え向きな予定に少しは予想していたけどあまりの早出しに吹き出した私は腕を解いて振り返り真っ赤な顔のレトルトに抱き着いったけ。
281人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
luco(プロフ) - パンださん» パンだ様、コメントありがとうございます!読者様の楽しみになれて嬉しいです。今後もマイペースになりますが頑張りますのでこれからもよろしくお願いします! (2021年3月30日 2時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
パンだ - めちゃくちゃ面白くて楽しませて貰ってます!更新頑張って下さい! (2021年3月28日 23時) (レス) id: 0ce8abb0bc (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - ららさん» らら様、コメントありがとうございます!lucoを知って頂いた上に全作品お読み頂けて嬉しいしかないです!微微調整しながら今後もマイペースに更新していくのでこれからもよろしくお願いします\(^^)/ (2020年2月23日 1時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
らら - 最近、lucoさんの事を知って今めちゃめちゃハマってます、!!lucoさんが書かれた作品全部読ませて頂きました!!きゅんきゅんして幸せです!笑 これからも頑張ってください!応援してます!! (2020年2月23日 1時) (レス) id: 55f78e88a7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:luco | 作成日時:2020年2月11日 1時