記憶のカケラに繋がる夢 ページ46
「お手上げ、もしだったらは意味ねえってことね」
「そういうことです」
机に並べられた料理に「「いただきます」」と声を揃えて両手を合わせた。
聞きたいことは聞けたし、まあ、言いたいことはもう言ったし俺は特に何の疑問も抱いていなかった。
「……ちゃんと、全部思い出したんですか？」
スプーンを持ったまま聞いてきたAの顔の前にオニオンスープの湯気がゆらゆらと揺れていた。
どこか寂しそうで、悲しそうな。
「鮮明と言うよりかは酔ってたし何言ったかとかは曖昧だけどAと会話したことは覚えてる」
「マスターキーのこと覚えてます？」
俯き加減に発された言葉に正直何の覚えもなくて首を捻った。
確かAに執着してた男を追っ払って部屋に引き入れた時に「マスターキーなんてありません」と言われた記憶ならある。
でもこの話の流れは酔っ払ってた最初の出会いの時の話に掛かってるはずだ。
……やべぇ、マジで何も覚えてない。
「覚えて……ません、ごめん」
「い、いいんです、大したことじゃないんで……」
そう言われると気になる。
けど、自分で気付かなきゃ意味がない気がしてそれ以上は聞く気になれなかった。
それから1時間経った。
レトさんから連絡があって部屋を明け渡してくれた。
家に戻るとうまくいったようで、手を繋いだ2人に迎え入れられた。
この2人もこの2人でその手を繋ぎ合わせられるまでにいろいろあったんだろうな、と思うと素直な気持ちで「おめでとう」の言葉が出た。
始発が出るまでAの部屋で4人で談笑をしたけどそれもすぐに終わってAの車で最寄り駅まで2人を送ってから俺もホテルまで送ってくれた。
「きょう、夜勤なので帰って寝ます、キヨさんもお疲れ様でした」
「いろいろあって俺も眠いわ」
気ぃ付けて、とだけ行って車を降車した後の記憶は曖昧でベッドに倒れ込んだことだけは覚えてた。
その夜、夢を見ない俺が久し振りに夢を見た。
そこはホテルの部屋だった、でもいつもと向きが違う。
でもこの向きはつい最近の記憶で見覚えがあった。
そうか、201号室だ。
俺はベッドに横たわっていて部屋の入口らへんから声がした。
「一気に成長はやっぱりできませんかね、マスターキーみたいな何でも出来る人になりたいです」
「そんなやついませんよ、1歩、1歩、確実にが1番成長の近道ですよ」
俺が発してない言葉が俺の声でどこかから再生されていた。
「マスターキーなんてありません」
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なみの - とっても面白いですね( ´∀｀)相変わらずの天才っぷり・・さすがです！毎回素敵なお話ありがとうございます(≧∀≦) (11月5日 13時) (
レス) id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - 赤の黒犬さん» これは完全に動画内のヨさんのテンションで書いてたので反応どうかなと思っていたので好きと言って頂けて良かったです。たくさんの作品にコメント本当にありがとうございます。レスが遅くなりましたが毎回見て元気を貰ってます！ (2021年8月18日 0時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
赤の黒犬 - キヨさんの嫉妬とか御馳走様過ぎる。キヨさんが元々レトさんに憧れていた節があったからこそキヨさんの嫉妬って映えると思ってニヤニヤしてました。キヨさんがドルヲタとか女優ヲタとして動画内で喋っているテンションで恋して、本人っぽさが倍増するのも好きです。 (2021年8月9日 2時) (レス) id: d5158b45c8 (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - siratama〇さん» siratama〇様、コメントありがとうございます！初の学パロ以外での長編ですので読者の方の反応が気になっていたのですが好みと言って下さりとても安心しました。そして長編に対しての励ましのお言葉もありがとうございます！とても嬉しいです。頑張ります！ (2019年3月9日 22時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
siratama〇(プロフ) - 好みof好みです。長編苦手だと仰りますが胸を張って得意だと叫べるレベルで素晴らしいです。素敵なお話ばかりで読むのが楽しみの１つになっています。ずっと応援しております、頑張って下さい！ (2019年3月9日 20時) (レス) id: 1503b2e324 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：luco
| 作成日時：2019年3月7日 1時
