始まりの201号室 ページ27
鍵はマスクの人に渡したから部屋の中にあるんだろう、マスターキーないと入れないなと「マスターキー持ってくね」とあやちゃんに声かけると「何かあったら呼んで」と今度は優しく声を掛けられた。
結局はこの人は優しいのだ。
気遣って休日は外に連れ出してくれていろんなとこにも連れてってくれるし、仕事を辞められない理由は人間関係が悪くないとこも一因だった。
マスターキーを差して部屋を開けると真っ暗な部屋の中から「気持ち悪……」と小さな声が聞こえた。
豆電球程度の灯りをつけて「平気ですか？」と声を掛けると「は？誰？」とベッドに腰掛けていた男性と目が合った。
ふぅ、と溜め息を吐いてから空気清浄機のスイッチを押してから膝をついて彼の前に応対する。
「ここの従業員です」
「……ここどこですか」
「ビジネスホテルです、マスクをつけた方が運んでくれましたよ」
「あー……そうですか」
「気分はどうですか？吐きそうとかありますか？」
「気持ちは悪い、です」
先程より幾分かは意識がハッキリしていそうで少し安心する。
ここに来る前に自販機で買ってきたよく冷えたペットボトルの水を手渡すと大人しく飲み始めた。
「頭痛てぇ」
「余計かもしれませんが飲み過ぎは身体の毒ですよ」
そう言ってから「大丈夫そうなので、行きますね」と立ち上がろうとしたら腕を掴まれた。
「どこ行くの？」
「どこって……わたしは心配で様子見に来ただけですから」
「待っ……うっ」
「あっ、ちょっ……」
袋を用意して来なかったのも悪いけどあまりにも前兆がなかった。
頭を抱え込んでユニットバスに突き飛ばすくらいしか出来なかったけどギリギリセーフだったらしくその後、暫く泣きながらトイレを抱え込んでいた。
背中を擦りながら時折、ペットボトルの水を手渡しながら泣いてるその人の頭を少しだけ撫でたりした。
一通り出し終わったのか涙目で「ごめんなさい」と謝ってから彼はベッドに倒れ込んだ。
「……大丈夫ですか？」と声を掛けると「少しだけいてください」と頼まれた。
またあんなことになって水も摂取しなくて脱水症状とかになっても困るし、と時計を確認するとまだ1時間も経ってなかった。
「今は休憩ですし、お客様が落ち着くまでいますよ」
「俺の名前知らない……んですか？」
「連れの方のみにチェックインの用紙記入して頂いたので……」
「俺のことも……知らない？」
？？
言われてる意味がわからなくてよくよく顔を見る。
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なみの - とっても面白いですね( ´∀｀)相変わらずの天才っぷり・・さすがです！毎回素敵なお話ありがとうございます(≧∀≦) (11月5日 13時) (
レス) id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - 赤の黒犬さん» これは完全に動画内のヨさんのテンションで書いてたので反応どうかなと思っていたので好きと言って頂けて良かったです。たくさんの作品にコメント本当にありがとうございます。レスが遅くなりましたが毎回見て元気を貰ってます！ (2021年8月18日 0時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
赤の黒犬 - キヨさんの嫉妬とか御馳走様過ぎる。キヨさんが元々レトさんに憧れていた節があったからこそキヨさんの嫉妬って映えると思ってニヤニヤしてました。キヨさんがドルヲタとか女優ヲタとして動画内で喋っているテンションで恋して、本人っぽさが倍増するのも好きです。 (2021年8月9日 2時) (レス) id: d5158b45c8 (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - siratama〇さん» siratama〇様、コメントありがとうございます！初の学パロ以外での長編ですので読者の方の反応が気になっていたのですが好みと言って下さりとても安心しました。そして長編に対しての励ましのお言葉もありがとうございます！とても嬉しいです。頑張ります！ (2019年3月9日 22時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
siratama〇(プロフ) - 好みof好みです。長編苦手だと仰りますが胸を張って得意だと叫べるレベルで素晴らしいです。素敵なお話ばかりで読むのが楽しみの１つになっています。ずっと応援しております、頑張って下さい！ (2019年3月9日 20時) (レス) id: 1503b2e324 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：luco
| 作成日時：2019年3月7日 1時
