暗闇を照らしたひとすじの光 ページ26
あれは新卒の、2年前の夏だった。
当時、現実と理想のギャップに苦しんでいた。
憧れていた業界ではあったけど苦労して入った会社。
辞めることなんて出来ない、でも仕事は嫌いだったし、若いからとクレーマーとか変なおじさんに掴まる率はピカイチに多かった。
「もうやだ」
先輩は休憩中で、夜勤でひとり、眠いし、精神的にも肉体的にも限界スレスレだった。
そんな時だった。
ここのホテルは2階にフロントがある。
平日の、しかもど真ん中の水曜日で夜中の2時なんかはお客様も寝静まるし、電車もない。
そのせいで、外階段の登る音がやけに大きく聞こえた。
警戒して正面玄関を見ていたらマスクをした男性が髪の赤い男性を担ぎこんできた。
うわ、酔っ払いか。
駅周辺にある為、金曜の夜は帰れなくなった酔っ払いがよく来る。
わたしはその酔っぱらいの対応が本当に嫌だった。
めんどくさいし、話が通じないし……はぁ、とひとつ聞こえないように溜息を吐いてから表情を引き締める。
これは仕事、そう仕事と脳内を切り替える。
ロビーのソファに男性を投げ出したマスクの男性は足早にフロントまで来た。
「部屋……はぁ、はぁ、空いてます？」
見るからにマスクの人より酔っ払いは背が高そうな感じだったしそれを担ぎながら階段を登るには骨が折れたんだろう、かなり疲弊していた。
思った以上に若いなぁ。
「空いてますけど、一緒の部屋にしますか？」
「え？！そこしか空いてない感じですか？」
「部屋の空きはありますけど、あの状態をおひとりにするのは……」
「それはもうあいつの自業自得やから……」
「そ、そうですか」
それでも、やっぱり心配だったし何かがあった時にすぐに駆けつける事の出来るフロントと同じ階に酔っぱらいの部屋を振った。
階を分けたことにとても感謝したマスクの人は酔っ払いを部屋まで運んでくれた。
「オートロックになりますので、鍵は忘れずお持ち下さい」
言わなくてはならないことを言い忘れフロントから事務所を通り抜けて外に出て、一応酔っ払いにも聞こえるようにマスクの人に伝えると「寝るだけだから平気です」と言ってからベッドに酔っ払いを放り投げてエレベーターで振り分けた4階の部屋に上がって行った。
それと同時にあやちゃんが休憩から帰って来た。
強制的にあやちゃんと呼ばされているが歴とした先輩だ。
事の顛末を話すと「世話見てあげな」事務所から放り出された。
休憩は潰せと？
なかなか辛辣な提案だった。
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なみの - とっても面白いですね( ´∀｀)相変わらずの天才っぷり・・さすがです！毎回素敵なお話ありがとうございます(≧∀≦) (11月5日 13時) (
レス) id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - 赤の黒犬さん» これは完全に動画内のヨさんのテンションで書いてたので反応どうかなと思っていたので好きと言って頂けて良かったです。たくさんの作品にコメント本当にありがとうございます。レスが遅くなりましたが毎回見て元気を貰ってます！ (2021年8月18日 0時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
赤の黒犬 - キヨさんの嫉妬とか御馳走様過ぎる。キヨさんが元々レトさんに憧れていた節があったからこそキヨさんの嫉妬って映えると思ってニヤニヤしてました。キヨさんがドルヲタとか女優ヲタとして動画内で喋っているテンションで恋して、本人っぽさが倍増するのも好きです。 (2021年8月9日 2時) (レス) id: d5158b45c8 (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - siratama〇さん» siratama〇様、コメントありがとうございます！初の学パロ以外での長編ですので読者の方の反応が気になっていたのですが好みと言って下さりとても安心しました。そして長編に対しての励ましのお言葉もありがとうございます！とても嬉しいです。頑張ります！ (2019年3月9日 22時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
siratama〇(プロフ) - 好みof好みです。長編苦手だと仰りますが胸を張って得意だと叫べるレベルで素晴らしいです。素敵なお話ばかりで読むのが楽しみの１つになっています。ずっと応援しております、頑張って下さい！ (2019年3月9日 20時) (レス) id: 1503b2e324 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：luco
| 作成日時：2019年3月7日 1時
