ただの優しさなわけねえだろ ページ21
休日だからいつもより騒がしい構内でも聞こえるくらい大きな声で「わぁっ！」と叫んだAにこっちが驚く。
リアクションが良すぎて本当にAか？と思ったけど怯えて振り返って俺の姿を確認した瞬間、ホッと安心した様な顔にドクと心臓が波打った。
会う度にいろんな表情を魅せられて正直に言っとこう、困る。
可愛いとかもうそんなんじゃなくて脳も心臓の奥も「好き」しかなくなる。
「清川様……驚きました、お帰りですか？」
「うん、俺でホッとしてたね」
「あ……はは、まあ、はい」
何かちょっと微妙な反応だった。
「なに、なんかあんの？」
「えと……いえ、何でもないんです」
嘘くさい笑顔、レトさんの女と同じ種類のやつだった。
先を歩くAの腕を掴む。
Aは一瞬、曇った顔をしたけど俺が言いたいことがわかるようで「歩きながら話しましょう」と言って眉を下げて力なく笑っていた。
隣に肩を並べて歩く。
変な反応にばかり気をとられてたけど、今日の私服も可愛い。
私服だと少し幼く見える。
「最近、駅で知らない人に声かけられて写真撮られるんです」
脳内でAのファッションチェックをしていたら予想外の言葉に「……あ？」と低くドスの効いた声が出てしまった。
「何？は？誰に？」
「いや、あの、だから知らない人です」
「逃げろよ」
「逃げてるんですけど、夜勤の出勤バレてるみたいで少し時間ずらしたんです」
ああ、だから少し早いのか。
駅で会えたことに浮かれていたけど、根本的なことを思い出した。
「え、つか車は？」
「最近、眠気が酷くて電車で通勤してるんですよ」
「……そっか」
ホテルの近くにあるカフェの前に立ち止まったAは「わたしここで少し仕事してから出勤しますので清川様は先にお帰りください」と微笑んだ。
あ、ちょっと笑顔が柔らかくなった。
話聞いてやることしか俺には出来なかったけど少しでも気が晴れたなら良かったか、つか、その男、社会的に殺してえな。
まあ、そこで「じゃあな」と俺が言う訳もなく「編集するから付き合う」と言うと少し戸惑った様子を見せたけど「その男に会うかもしれないだろ」と付け加えると強ばった表情になって「……優しいですね」と許諾してくれた。
これじゃ、脅しも同然だ。
だけどいつものAは外で2人きりで客と会うなんてこと絶対にしない。
だから全ての事象が重なったことを利用したまで。
白くて細いその手の温度を知りたい→←好きの理由なんてそんなもん
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なみの - とっても面白いですね( ´∀｀)相変わらずの天才っぷり・・さすがです！毎回素敵なお話ありがとうございます(≧∀≦) (11月5日 13時) (
レス) id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - 赤の黒犬さん» これは完全に動画内のヨさんのテンションで書いてたので反応どうかなと思っていたので好きと言って頂けて良かったです。たくさんの作品にコメント本当にありがとうございます。レスが遅くなりましたが毎回見て元気を貰ってます！ (2021年8月18日 0時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
赤の黒犬 - キヨさんの嫉妬とか御馳走様過ぎる。キヨさんが元々レトさんに憧れていた節があったからこそキヨさんの嫉妬って映えると思ってニヤニヤしてました。キヨさんがドルヲタとか女優ヲタとして動画内で喋っているテンションで恋して、本人っぽさが倍増するのも好きです。 (2021年8月9日 2時) (レス) id: d5158b45c8 (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - siratama〇さん» siratama〇様、コメントありがとうございます！初の学パロ以外での長編ですので読者の方の反応が気になっていたのですが好みと言って下さりとても安心しました。そして長編に対しての励ましのお言葉もありがとうございます！とても嬉しいです。頑張ります！ (2019年3月9日 22時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
siratama〇(プロフ) - 好みof好みです。長編苦手だと仰りますが胸を張って得意だと叫べるレベルで素晴らしいです。素敵なお話ばかりで読むのが楽しみの１つになっています。ずっと応援しております、頑張って下さい！ (2019年3月9日 20時) (レス) id: 1503b2e324 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：luco
| 作成日時：2019年3月7日 1時
