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え?小麦?
小麦の生産量が落ちるって何?
は?
「パン屋が困る……?」
俺が辿り着いた答えは、何ともお粗末なものだった。
自分で、何言ってんだ?と思った俺に。
「ん。正解。」
「え!?」
蘇比様は、何でもないことのように言った。
正解!?
え?何が!?
ヤバい、全然意味がわからない。
「パン屋が困るのは、小麦の生産量が落ちれば小麦の値段が上がるから。で、小麦の値段が上がればパン屋はパンの値段を上げるしかなくなる。」
「はぁ……」
「わかんねぇって顔だな(笑)生産量が落ちる。物流が滞る。物価が上がる。それは、民の生活を脅かすものだ。」
「それは確かに、そう…ですね。」
「そうするとな、生活に困窮する者も出てきて犯罪も増える。」
蘇比様の表情が険しくなった。
まるで苦い物を噛み潰したかのような顔付きで。
何処か殺伐とした空気を纏っていた。
「そういう諸々を少なからず感じて徐々に民の顔が雲っていく。民の表情は国を写す鏡だと、俺は思ってる。」
蘇比様は今日、それを肌で感じ取ってきたと言うのか。
そして、その上で"国を一番知っているのは民だ"と言う。
些細な変化を敏感に感じ取れる蘇比様の観察眼は相変わらず健在だ。
「今この国は、何かが起こり始めているのかもしれない。」
蘇比様の表情は険しいまま。
俺に言うというよりは、独り言のように零れ落ちた蘇比様の言葉。
それは、雨の音が響く執務室の中でひどく恐ろしい音の様に聞こえた。
国を一番知っているのは確かに民なのかもしれないが、それに対応出来るのは城の中にいる人間だ。
そして、その中で国を一番知っているのは蘇比様だ。
その、蘇比様が。
これほど険しく表情を歪ませるということは、本当に杞憂ではないのかもしれない。
俺も蘇比様と同じように窓の外を見つめた。
暗い灰色の雲に覆われた空。
それは、美しい七色の虹の色をしているはずの国に緩やかに闇が混ざり始めているようにも見えた。
何かが、動こうとしている。
それは色鮮やかな七色を呑み込む漆黒の闇を連れて。
足音もなく、そっと───────。
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流華(プロフ) - 充瑠さん» 充瑠さーん♪お久しぶりでーす♪♪わぉ、ロケ地に行かれたんですか!?羨ましいー( ☆∀☆)私も行きたいなぁ。頑張って更新していきますねー♪ヽ(´▽`)/ (2018年10月26日 13時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - ここさん» ここさん、こんにちは。コメントありがとうございます♪藤北さん……拗れてまさからね(笑)どうなることか(^_^;)頑張りますので、今後もよろしくお願いいたしまーす(*´∀`)♪ (2018年10月26日 13時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - 椿さん» 椿姫……(笑)喜びの舞だったり、机の角で頭ぶつけたりと忙しいな(笑)ああ、卓袱台返しの準備もするんだっけ?(笑) (2018年10月26日 13時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - SIZUKUさん» SIZUKUさーん♪♪いつも、ありがとうございますー♪ヽ(´▽`)/ゆっくり進んでます(笑)そうです、お墓ですよ。あれが、誰のお墓なのか…。ポイントですね、それ(笑)伏線……回収出来るはずです(たぶん/笑) (2018年10月26日 13時) (レス) id: b5b973b1e3 (このIDを非表示/違反報告)
充瑠(プロフ) - 流華さーん!!お久しぶりです。いよいよですね!実はこの夏に、ロケ地に行ってきまして。まだ記憶も鮮明なので、今後が楽しみです^^いつまでも待ちますー (2018年10月21日 0時) (レス) id: 5cca4c3768 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:流華 | 作成日時:2018年6月8日 11時