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ピンポーン─────・・・


「え、渉?」


ワクチンを射った翌日は、事務所の配慮でオフだった。
ありがたい事にワクチンの副反応は少なく、今のところ腕が微妙に痛いくらいで済んでいる。
本当に副反応が大きく出るのは2回目の接種だと聞いているから、1回目の今日が軽くてもあまり楽天的には考えられないが。
それでも安静にしていた方がいいだろうと自宅で本を読んだりしながら、ゆっくりとした時間を過ごしていた。

夕方を少し過ぎた頃に鳴り響いたインターホン。

今時、何の前触れもなく鳴るインターホンなんて宅配ぐらいではないだろうか。
先日、北山とスパークリングの日本酒を飲んでから、ネットで美味しそうな日本酒の名前が気に入って注文はしたが、それはまだ発送の通知も来ていない。
訝しげに覗き込んだモニターの向こうでマスク姿の親友が手を振っていた。


「副反応、平気?」


「ああ、腕が少し痛いけど。てか、どうしたの?」


「夕飯、一緒に食べようかと思って。」


そうして渉が見せた手に持った荷物は、何度か見覚えのある渉愛用のエコバッグだった。
開いた口元から、食材が見える。


「連絡くらいしてよ。俺がいなかったらどうすんの、それ。」


「ワクチンの翌日に太輔が出かける?ないでしょ。」


呆れ混じりに溢せば、確信を持って口角を上げる渉の頬に笑窪が浮かぶ。
長い付き合いで、完全に把握されているらしい俺。
しかも、それを自慢げに語る渉が何だか可笑しかった。


「お疲れ。」


「今日は働いてないけど、お疲れ。」


カツンッと軽くグラスを合わせた。
どんな副反応があるかもわからない中で、アルコールを呑むわけにはいかず俺達が持つグラスの中身は烏龍茶だ。

焼き茄子にオクラのおかか和え。
ズッキーニと豚肉の味噌炒めに自家製チキンハム。

渉の手にかかれば、あっという間に男の独り暮らしとは思えない夏野菜の晩餐が完成する。


「夏だねー。」


オクラのおかか和えを食べながら、思わず俺は独り言のように呟いた。


「ミツならビールが無いなんて有り得ないとでも言いそうだね。」


「っ、」


不意に出た名前に肩が揺れる。
いつもはもっと上手に誤魔化すことも出来るはずなのに、どうしたって渉の前では顔も作れない。

そして、その俺の微々たる動揺に渉が気が付かないわけがない。


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流華(プロフ) - sioriさん» 一番乗りコメント、すごい嬉しいです♪♪やっぱりここを少しだけスクロールすると「作成日時」が残るじゃないですか。その日付を残したくて(笑)素敵な恋!?(笑)んー・・・素敵な恋もそれなりにありましたけど、素敵じゃない恋もたくさんありましたよ(笑) (2021年9月18日 23時) (レス) id: 9ee96bd060 (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - 流華さん、やった!1番(笑)北山くんの誕生日に続編を更新してくれて嬉しいです!そしてやっぱり流華さんの言葉選びが本当に大好き。どんな素敵な恋をしてきたんですか?(笑)ふふ。この先どうなっていくのか楽しみです! (2021年9月17日 18時) (レス) id: 2b4c1e0fcf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:流華 | 作成日時:2021年9月17日 18時

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