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love u... 55 ページ6

思い出したようにワインの話題を振る。
彼もワインが1番すきだと。


ワイン好きなんだ。気が合うなー
なんて思った自分に気づかないフリをしたとき、

あ、そういえば、はじめて田中さん知った時、テレビでわたしとおんなじ、赤ワインのフレグランス紹介してたな。って思い出した。

もうだいぶ前のことに感じる。
実際はたしか先週の土曜日のメレンゲ。
まだ一週間も経ってない。

「じゃあ、部屋同じ匂いなんですね、うれしい』

そんな彼の言葉が脳に反芻する。


(酔ってきちゃったかな)


そのあとはお互いの話をした。
彼はやっぱり会話がうまくて、
頭がいい人だなって思う。



学生の頃のこととか、ストレス発散法とか。
ほんとに他愛もない話。



心から楽しいと思える。


でも、今日が最後。


たまたま好きが、被った
野球や、海を見ること。
彼はドライブで海見に行くのが好きって言ってた。


これからもしかしたら出来たかも知れない
野球観戦やキャッチボールや海へのデート。



一瞬想像してしまったしあわせな光景を
慌ててかき消す。


(今日が最後なのに。)



いっそこの時間がずっと続いたらいいのにって
そう本気で思うほど、楽しくて、幸せで
…名残惜しい時間。



時々出てくる悲しい現実から目を背けて
明るく、でも彼の言葉を心の奥にしまわないように
浅く浅くとどめて置けるように、気をつけて話した。


そう思いながら話すほど、
彼をどんどん知ってしまって。
知りたくないわけじゃないし
むしろ知りたいって思うのに。
知ってもどうすることもできない現実。

その現実を毎回流すように、
ワインをまた一口、またひと口と
飲み進めた、



次のメインのお肉料理が提供されたときには
わたしのグラスは気がついたら空になっていて。


ーー赤ワインたのみます?
俺、おすすめあるんで。


そう言うと、
彼は私の反応を待たずに赤ワインを頼んでくれた。




時間をあけずに届けられたワインは
ネッビオーロを使ったフルボディの赤。


グラスに入った赤ワインは
部屋のフレグランスの色より少しだけ薄く感じる。


いただきます、と香りを嗅ぐと、
芳醇な香りが頭をぼんやりさせ、

フレグランスと瓜二つの香りが
まるで自分の部屋にいる錯覚を起こさせる。


ゆっくりと、ひとくち含むと、
いっそう広がる甘くコクのある香りと味。
かすかにベリーを感じてきゅっとする。



(最後か…)





その瞬間、頬にツっとひんやりとした刺激が通った




.

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設定タグ:田中樹 , SixTONES , 年上   
作品ジャンル:タレント
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作者名:Nagi | 作成日時:2021年2月27日 0時

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