【wrwrd!】魅入る者、魅入られる者【ロボコパロ】

T-03-32-Z ページ21

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(職員A、今日は新しく入ったアブノーマリティに愛着作業を行っていただきます)


福祉部門が｢何も無い｣の収容違反でてんてこ舞いになっているのをインカム越しにのんびりと聞いていた矢先の指示だった。


『T-03-32-Zは崩壊以前の旧世界で多く見られた女子学徒に似た姿をしている』


ここ最近固定化してきた｢永遠の書架｣｢粛清を待つ獣｣｢チワワの叫喚｣は本能や抑圧作業が多く、果ては恋人の真似事のような作業が多かった。
最後にまともな愛着作業を行ったのはレティシアに対して、数ヶ月前の話だ。


『彼女は一見すると会話が可能なように感じられるが、彼女の言葉にはノイズが掛かる』


資料を見る限りでは交流不可か。
旧世界で安寧の中を生きていた女性達は特に取り留めのないお喋りに興じることを楽しんでいたらしいし、愛着作業を命じられたのも頷ける。


『彼女は旧世界の宗教的な言葉を発することがある』


ここまで旧世界に関わりがあるとなると、由来は旧世界の何かだったりするかもしれない。
上手く会話の断片を聞き取ることが出来れば、間違いなく煙戦争の生き証人である。


『彼女は時折実像がぶれる。認知を阻害するタイプであることが予想されている』


T-03-32-Zの収容室に向かう足が止まる。
煙戦争のことを聞けるかと思ったのに、また認知阻害系のアブノーマリティを当てられたのか。
ある意味鈍い自分の体質に嫌気がさす。


｢職員A、アブノーマリティT-03-32-Zの愛着作業を開始｣

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