【合作】―Division Battle―【ヒプマイ】

夢主が重い荷物を軽々持ち上げたら F.P by朱寧2 ページ26

＊Phantom

「よいっしょ……」

大きく膨れた鞄を持ち上げた。
かけ声は我ながら古くさいなと思った。

「あらAはん〜、随分重そうな鞄どすなぁ〜」

艶やかな花魁でも連想させる、色っぽい声がした。
幻太郎だ。

「そういうあんたは手ぶら？」
「ええ。実は小生、予知能力がありましてね。」

先程とは明らかに変わって、幻太郎自身の声だ。
彼は私の鞄を軽く奪い取り、

「貴女がこんなに重い荷物を、持っている未来が見えたので」

幻太郎は、パチリとウィンクしてみせた。
……嘘つき

「まあ、嘘なんですけど……貴女が苦しそうだったので、つい」

何気なく、当たり前のように彼は言った。
こういうところがずるいな、と思った。



＊Dead or Alive

「帝統、なにその……ジュラルミンケース？は」

彼は週一くらいで私の家に来る。
大抵私から借金するために。
でも今日の彼はとても明るいというか、晴れ晴れとした顔をしていた。

「今日は大勝ちしたんだよ！」
「え、でも勝った日に家に来ることはないじゃない……もう、中に入るよ」

ひょい、と帝統の手からジュラルミンケースを奪い取る。
ちょっと重いな……
帝統を置いて部屋に入ろうとすると、

「あ、待てって！」

彼に腕を掴まれた。進めない。

「……重たいだろ、それ。俺が持つから」

私の手から、ケースが取られてしまった。
いつもの彼とは違って、私の前を歩いている。
彼の背中は、逞しかった。

「………そんな事されたって、簡単に惚れてやらないからね」
「ん？何か言ったかー？」

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