王神相搏つーその11 ページ36
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「俺のテニスは、完璧やけど完全やない。」
曇った表情でそう言った白石さんに、俺は首を傾げる。
完璧と完全、どう違うのだろうか？
困って黙る俺を見て、白石さんは眉を下げながら笑った。
「完璧はな、最高の見本をそっくりそのまま出来ること。俺はそう思っとる。
せやから完璧なテニスをするっちゅーことは、その見本からまだ卒業できとらんっちゅーことや。
俺は完璧を超えた完全を目指して、まだまだ練習を続けなあかん。」
目を細めて目標を探すように遠くを見つめた白石さんを見て、俺はまたさすがだなと思った。
完璧だけど完全じゃない。だから「聖書」と言う二つ名が着いたのか。
合点のいった俺は、明るい声で白石さんの方を見た。
「だから、｢聖書｣っていう二つ名なんですね！」
「ん？この考えで行くと、「聖書」はなんや言い過ぎかもなーと思うんやけどな…」
「いえいえ、そんな事ないですよ！
俺、神話とか宗教とかそういう話が好きだからこう思うだけかも知れませんけど…確かに聖書ってトップの存在じゃないですから。
人の上に聖書があり、その上に信ずる者がある。
幸村部長の二つ名が「神の子」で「子」が着くように、白石さんにも今の名前の上にまだ伸び代があるって思われているから、聖書って名前なんですね……と…俺は思うんですけど…あれ、違いましたか…？？」
俺は謎解きを解いたように嬉嬉として夢中で話しつつ白石さんの顔を見てぎくっとした。
白石さんはぽかーんと目を丸くして、口を微妙に開けたまま止まっていた。
(あれ、こういう意味じゃなかったのか…！？)
じゃなかったら俺、トップじゃないとか失礼なこと言っちゃった…！
「す、すいませんなんか俺変な事言っちゃ…」
「いや、Aちゃん！！」
俺の声を遮った白石さんは俺の両肩を掴んで、微妙に空いていた二人の距離をぐいっと詰めた。
「え、っうわ！？」
そしてあろう事か、俺はがっしりと白石さんに抱きしめられる。
「聖書にそんな意味があったなんてな！俺、ホンマに感動したで！！たまらんなぁAちゃん、そんなこと言われたら張り切るしかないやん…！」
おおよしよしと後ろ手に髪を撫でられて頭がぐるぐるする。
どうやら、俺は知らないうちに聖書の深淵を探っていたらしい。
え、って事は幸村部長の｢神の子｣も俺は間違えた解釈をしていたんだろうか…
白石さんにもみくちゃにされつつ、俺は冷や汗を垂らした。
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木こりのコロポ(プロフ) - 日吉和菓子2円さん» コメントありがとうございます！これからもよろしくお願いします！ (2018年4月30日 0時) (
レス) id: 43368e3037 (このIDを非表示/違反報告)
日吉和菓子2円 - ルドルフ組が可愛かったです！ (2018年4月29日 22時) (レス) id: 9521c565b3 (このIDを非表示/違反報告)
木こりのコロポ(プロフ) - 第一部隊さん» コメントありがとうございます！ルドルフの中だと淳が好きなので、かなり淳との会話が多くなってしまったかなと思います…！お気に召して貰えたならなによりです！ (2018年4月29日 19時) (レス) id: 43368e3037 (このIDを非表示/違反報告)
第一部隊(プロフ) - ルドルフかわいかったです！家族設定面白い！ありがとうございました！ (2018年4月29日 18時) (レス) id: 91bd124fa4 (このIDを非表示/違反報告)
木こりのコロポ(プロフ) - 暁月さん» ご指摘ありがとうございます！訂正しました！ (2018年4月29日 13時) (レス) id: 43368e3037 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：木こりのコロポ | 作成日時：2018年4月14日 8時
