永瀬くんは、ニセのプリンス様【1】 (ページ8)

今日:23 hit、昨日:14 hit、合計:829,661 hit

prince08 ページ8

.

＿＿＿"俺達付き合ってんねん"

は、はい…？

誰と誰が付き合ってるって言うんです？？

永瀬くんの言葉が脳内で何度再生されようと

理解するのに苦しんだ。

驚目を瞠らせ、

私の肩組む永瀬くんを凝視する。

廉「みんなには内緒にしてたんよ。

あんま騒がれるのも好かんし。」

内緒にするもしないも

まず私達付き合ってないんですが。

廉「…ね？A」

突然話を振られ、

当たり前のように問われても

私達は昨日初めて会話した、ほぼ他人だ。

あ「んなわけっー…「まぁそういうことやから」

否定しようとしたら素早く手で口元塞がれて、

廉「ほんまごめんな。」

「永瀬くんに彼女がいたなんて…っ

そんな…」

今にも泣きそうな女の子はこの場に居ることが

耐えられなかったのか颯爽と居なくなってしまった。

.

あ「…っと！！どういうつもり！？」

塞がれてた手からようやく解放された瞬間、

思い切り眉間に皺を寄せて

即座に口を開いて彼を問いただす。

あんなの一瞬にして噂回っちゃうじゃん！！

面倒くさい事には巻き込まれたくない。

肩からスルリと手が離れ、

こちらへ顔を向けたと思えば先程までの笑顔は一瞬で消えて

蔑んだような目で人を見下ろし、

そのまま無言でジリジリと近づいてくる彼に

自然と後ろへ後退りした。

そして、壁に追い詰められ、

逃げ場を無くした私の横に手を付き、

廉「お前さ、人と話合わすことも出来ひんの？」

あの優しい口調と声はどこへ。

聞いたこともないくらいの低く、冷めた声。

今まで見たこともない人形の目のような

冷々とした視線。

.