永瀬くんは、ニセのプリンス様【1】 (ページ22)

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「おーい！こっち！こっちパス！」

「そっちじゃないだろおがぁ！！

そんなんじゃ相手チームに点数奪われるぞ！！」

地元から2駅先にある高校の門を潜ると、

広々した芝生の校庭で既に

各チーム懸命に練習を行っていた。

犬走り沿いを歩いてる私に気が付いた

サッカー部員達が満面な笑みで

手を振ってきたので私も笑顔で振り返す。

私が来たことはすぐに永瀬くんの耳に入ったようで、

すぐに彼と目が合った。

この場合は…どうすればいいのかな…

と、取り敢えず手でも振っとく…？

恐る恐る手を振ってみると

それに応えるかのように永瀬くんも

手を振り返してきて。

…けれど、お互い慣れてないせいかどこかぎこちない。

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校庭と校舎を繋ぐ階段に腰を下ろし、

ピィー、というホイッスルの合図と共に

各チームが中央に集まり、挨拶を交わした後、

試合が始まった。

放課後、いつも郁美に誘われて

嫌々観戦してたサッカー。

本当ただボーッと眺めていただけだったから

こうやって真剣に見るのは初めてで。

ボールを懸命に追いかけて、

相手からボールを奪い合ったり

奪われるのを阻止したり

真剣にサッカーをしてる姿を見て、

悔しいけど

認めたくないけど

あ「かっこいいじゃん…。」

額から汗を流しながら一生懸命走るところや

ゴールを決めた瞬間、

喜びのあまりガッツポーズしてから

仲間とハイタッチするところ見ると、

サッカーへの愛と情熱からこちら側まで伝わってきた。

「きゃあ〜〜っっ永瀬くーんっ！！」

「廉くんかっこい〜〜〜！！」

「「「「ファイトォ〜〜！！」」」」

あ「……っ！？」

背後から突然の声援に驚いて肩が揺れ、

反射的に後ろへ振り返る。

「きゃぁっ！ねぇ見た！？見たよね！？

廉くん今こっちに手振ってくれたよ！！」

「してたね！！やば〜いっっ」

「今日も永瀬くんいっちばんかっこいっ！！」

…試合にまで観に来るなんて、かなりの熱狂的ファンだ…

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