永瀬くんは、ニセのプリンス様【1】 (ページ16)

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この時初めて永瀬くんのことが少し怖いと感じた。

その冷酷な視線に怯んでしまい、

それ以上聞くことが出来なかった。

廉「女ほど面倒くさい生きもんはない。」

私から視線を外し、遠くを見つめながら

フッ、と乾いた笑みを浮かべる。

…ううん。

聞いてはいけないような気がしたんだ。

あんなに笑顔振りまいて

声掛けられれば優しく対応して

部活の時なんか見学してる女子に

手を振ったりして沢山サービスしてるのに。

その裏にはきっと深い闇を抱えてるような気がして。

廉「お前を選んだんは今の俺を知ったからで、

せやからあくまでこれは疑似恋愛や。忘れんなよ」

だから表向きのもう1人の自分を演じてるんだろうか。

手すりに預けてた背中をゆっくり起こし、

そして、私の方へ詰め寄る。

…顔が近い。

こうして間近で見るとら性格は極悪でも

本当に二次元から飛び出してきたような綺麗な顔立ち。

顔だけ見れば王子様のような美形なのが悔しい。

てか毛穴なくない？

なんなの？性格極悪のくせにどこまで恵まれてるわけ？

…なんて、中々見れる機会ない綺麗なお顔を

今のうちに堪能していると、

廉「好きになんなよ」

永瀬くんのその一言ですぐ我に返った。

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…は。

"好きになんなよ"…？

あ「はぁぁぁぁっ！？」

バッカじゃないの！？

あ「好きになるわけないでしょ！！」

こんな性格極悪で、か弱い女の子脅してきて、

顔だけ良い男なんか好きになるものかっ！

ドンッと彼の体を突き離してやった。

廉「あそ。ならええけど。」

あ「バァーカッ！！

自意識過剰！アホ！

絶対好きにならないわよ！！」

「ほな俺もう行くわ」と最後に言い残し、

私を置いて階段を下りてく憎たらしい背中に向かって

罵倒するけど効果は皆無で、

私の視界からヤツの姿は見えなくなった。

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