don't love3 ページ4
よしなに手を引かれて枯れ草の生えた道を歩く。
体力のない私の足は、次第に縺れていって止まった。
カネキ「…Aさん?」
振り返り際の彼の腕を払い、座り込んだ。
貴「わ……私…体力ない、から……置いて、行って……」
もともと、彼が誰なのかも分からなかったので、これで別れられるなら好都合。
途切れ途切れに喋る私を数秒見つめ、口を開いた。
カネキ「何言ってるんですか?僕と貴方は一緒でしょう?」
貴「………ッ」
______また。また、この表情。
光のない瞳を細め、妖し気に頬を釣り上がらせたこの表情に、剥き出しの脊髄を舐め上げられる感覚を覚える。
貴「わ、私…貴方の事知らない…ッだから一緒なんて__ひッ!?」
無理。
そう言おうとすると、目の前に赫子を突きつけられた。
ほんの数ミリ動こうものなら、目をやられてしまう。
目玉をくりぬかんばかりの勢いよい赫子に言葉が詰まった。
カネキ「冗談も笑えないですよ…?僕は貴方のもので、貴方は僕のものです」
貴「…………____」
もう、言葉が出なかった。
どんな言葉を選んだらいいのかも分からない。
それくらいパニック状態に陥った私は、ただ、絶望の色を浮かべるしかなかった。
彼の理念が、理解しがたい。
黙りこくっていた私に、更なる追い討ちがかかった。
カネキ「僕は、貴方をずっと見てきたから分かる…
僕と同じ文学部国文科。好きな食べ物は桃。嫌いな食べ物はピーマン。…子供らしいんですね…?そして、貴方の癖は…
嘘をつく時に必ず左手を後ろに隠す傾向がありますよね?」
貴「あ………や______」
秀逸な洞察力に、体の血の気が引く。
貴「し…らないッ…私は貴方なんて知らないッ…私の側に喰種なんていなかったもん…!」
気づいたら、走っていた。
体力なんてないと知っているのに
無駄に足掻いて、命を乞うて
あの人は、『危険』だ。
私は、そんな人に捕まってしまった。
貴「きゃっ…」
足場が悪いせいか、何かにつまづいて転んだ。
後ろから、枯れ草が折れる不気味な音がする。
貴「あ………」
後ずさっても、後ろは木。木。木。
貴「や………やだっ………」
カネキ「僕は…カネキケンです______」
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さくら - やば (2019年5月22日 4時) (レス) id: fba2db2f98 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - ピエロさんさん» 天使ですか!嬉しいです…寛大な心をお持ちの天使様のために!!!(( (2016年1月24日 8時) (レス) id: 99758c160f (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - ルカさん» 有難うございます!闇カネキチはツンデレであることを望みますが…ヤンデレもいい!!!!頑張ります! (2016年1月24日 8時) (レス) id: 99758c160f (このIDを非表示/違反報告)
ピエロさん(プロフ) - 駿浬さんの作品とっても、楽しみです!駿浬さんのペースで頑張って下さい(((o(*゚▽゚*)o))) (2016年1月24日 1時) (レス) id: 2d848995f7 (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - 闇カネキくんめっちゃ楽しみです!応援しています!!! (2016年1月23日 21時) (レス) id: afde7ff475 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:駿浬 | 作成日時:2015年3月23日 20時