世界観 ページ2
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村人達は、彼らをそう呼んで忌み嫌った。
...
堕天とは、生まれつき翼を持って生まれた人間に対しての蔑称である。
天使ともいえるような見た目の彼らは、村人達の“不可思議な能力を行使している”という思い込みにより村の隅へと追い遣られた。
全ての村人が、堕天への恐怖を顕にしていた。
そうして隔離された彼らに、栄養失調で若くして亡くなる他の道はなかったのだ。
そしてその“伝統”は村の中で何百年と続いてゆき、終には現代まで受け継がれるものとなる。
最早村人達の堕天への感情は“畏怖”ではなく“嫌悪”へと移り変わっていた。
其れが仇となったのだろうか。
7月7日に行われる村唯一の祭、七夕祭り。
堕天達はその日、何百年の伝統を突き破って空へと舞い上がった。
驚いた村人達には何も為す術もない。
外の世界へ出て初めて堕天達が自覚した、自分達に備わった“力”。
一夜にして、その村は余りに残忍な程に破壊された。
その夜、堕天達は“被害者”から“犯罪者”へと姿を変えたのだった。
長閑な村の破壊に日本全国に震撼が走る。
警察は血痕と指紋等から犯人達を特定するも___何故か、堕天へとは辿り着けない。
それもそのはず、彼らには戸籍が存在しないのだから。
血に染まった翼で、堕天は一夜限りの逃避行へと飛び立つのであった。
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