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第五十三話 演技派? ページ8

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カツン、と高いヒールの音がする。横に歩く男性は、私の手を引いて行こうかと口にした。それに頷き、私も歩き出す。列車は汽笛を鳴らし、走り去って行った。

赤毛をひとつの三つ編みにまとめ、それをお団子にした髪は一切崩れておらず、オスマンが手入れしてくれただけあるなと思った。黒のワンピースの襟袖はふんわりとレース状になっており、首にはネックレスを。

横の男性はしゃんとしたスーツで、黄緑と黒のネクタイに着いているピンは、太陽の光できらりと輝いている。長ったらしい髪は横へ流しひとまとめにしている。

それぞれ長い期間調査になるため、押し入れの奥底にあったトランクを引っ張ってきた。茶色の、深みのある色。それの反対、彼_ゾムは、黄緑色のトランクだ。

『綺麗な景色ね。』

「ああ、そうだな。近くの店でも寄ろうか?」

『ええ、勿論。』

翡翠の瞳は、演技に困るといった色をしていて。口では言わないものの、私も面倒よと返す。傍から見た時は、どう見えているのかは知らないが。

カランカランと、ベルの高い音が鳴る。

「いらっしゃい!おや、見ない顔だね…夫婦旅行かい?」

『ええ。今日が結婚記念日なの。どこかに行きたいと思っていたら、彼から誘ってくれて。』

「なあに!いいじゃないか、どれ、欲しいパンひとつオマケしてやろう」

『あら、いいの?じゃあそうね…じゃあこれと同じのをもうひとつ。』

パン屋のおじさんは気分が良さそうに、パンをひとつ増やしてくれた。媚は売ってなんぼだなと内心苦笑しながら、どうもとお礼し店を出た。

「新鮮だったな。」『あら、まあ確かにそうね。普段は見ないもの。』
(あんな風なA見へんから新鮮やねんけど。)(当たり前じゃない。普段は見せないんだから。)

…言葉で意思疎通できないって、しんどいな。まるで仮面夫婦みたいだ。
表面上って、結構虚しいのね。

「次はどこに行く?」

『そうね、まずは宿かしら。その後友人の元へ。』

「うん、分かった。良さそうな宿探そうね。」

…ゾムのこういう口調慣れてないから気持ち悪いな、なんか。ゾワッとする。
いや、潜入捜査とかゾムからしたら慣れてるんだろう、仕事だとこんな感じなのかもしれないな。

コネシマにならんで、意外と演技派なのかもしれない。

第五十四話 彼らの情報→←第五十二話 潜入捜査



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五角形レンガ - すっげぇ、、、いや、感動でしかないです、凄すぎませんか!? (8月12日 10時) (レス) @page29 id: 142fcb5a32 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑 - 神作品、、、ッッッッ (2022年12月19日 12時) (レス) @page29 id: 9753754a57 (このIDを非表示/違反報告)
はしばみの揚げ物(プロフ) - 鴉さん» お!!そうですそうです!!!!いやあ知ってる人いた………!!!!! (2022年10月19日 18時) (レス) @page14 id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
- 作者様!!!!59話の夢主さんが言っている小説ってメディウムですよね!!!! (2022年10月19日 18時) (レス) @page14 id: cdf302c4aa (このIDを非表示/違反報告)
GuriGura(プロフ) - う‘‘ぁ‘‘ッ、、、、、、、、、さ‘‘い‘‘こ‘‘う‘‘ッ‘‘、、、、、、、、、 (2022年9月25日 8時) (レス) @page29 id: b9eb3e9d2e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はしばみ | 作成日時:2022年9月8日 23時

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