第六十話 掴む ページ15
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「_つまり…体内に、爆弾があると。」
以前も見た人相。整った、穏やかな顔持ちと声は裏腹に、緊張を混じえられていて。
まさか国の派遣で自分が来るとは思っていなかったんだろう。いくら正当であろうと、警戒する相手には変わりないから。
「少なくとも、E国かと目星は付けとるんですけど、あまりにも証拠が少ないんすわ。死んでしもた人らの身元さえ分かれば特定できるんやけど…。」
『…その身元の特定すらも無理に等しいかもね。随分前に木っ端微塵にしたから。残ってるのは灰と死体だけじゃないかしら。』
「うーん…、あれ、今、なんて?」
以前懐を刺した_しにがみ、というなんとも不吉な名前の彼が、こちらへと視線を送る。おい、とぺいんとが注意するも聞かない様子で。
別に堅苦しいのは得意ではない。上下関係の激しいもの以外での敬語は特に。
『…身元の特定も難しい?』
「その後です」
『…?全部爆破で木っ端微塵になったから、残ってるのは灰とか死体とかだけねって…。』
それですそれ!とビシッと指を指す彼。人に指さすな。
ここへ訪れた時、彼から言われた「僕は女の子じゃないです」という言葉。以外にも知らなかった素性で驚いたが、まあ確かに僕って言ってるし。それらしい一面ばかりだし。
「死体が残ってるんだったら、体内の爆弾も残ってるんじゃないですか?だって、その人達の死因は体内の爆弾の爆発じゃなくて、核の影響なんですから!」
『…確かに、それは…。』
有り得なくもない。だけれど非常に非効率だ。国民だって、うちの軍の兵士だって死んでいるのに。その中から漁るのに時間はとてつもなく要される。
『…時間は物凄くかかるけど、その方が確実ね。
その中の死体の体内から少しでも機械反応があれば、確定。E国は国民を手中に収めていたということになる。』
後で報告せねば。色々整理したいことが山積みだし。
「せやなぁ…。んーっ、とりあえず、そんぐらいですかね、情報は。」
「そ、ですね…。あとは、無かったはずです。
すいません、こんなに夜も更けてしまって。」
や、いいんすよ!とゾムが首と手を振る。
『………。』
私は、黙ったままだった。
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五角形レンガ - すっげぇ、、、いや、感動でしかないです、凄すぎませんか!? (8月12日 10時) (レス) @page29 id: 142fcb5a32 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑 - 神作品、、、ッッッッ (2022年12月19日 12時) (レス) @page29 id: 9753754a57 (このIDを非表示/違反報告)
はしばみの揚げ物(プロフ) - 鴉さん» お!!そうですそうです!!!!いやあ知ってる人いた………!!!!! (2022年10月19日 18時) (レス) @page14 id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
鴉 - 作者様!!!!59話の夢主さんが言っている小説ってメディウムですよね!!!! (2022年10月19日 18時) (レス) @page14 id: cdf302c4aa (このIDを非表示/違反報告)
GuriGura(プロフ) - う‘‘ぁ‘‘ッ、、、、、、、、、さ‘‘い‘‘こ‘‘う‘‘ッ‘‘、、、、、、、、、 (2022年9月25日 8時) (レス) @page29 id: b9eb3e9d2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はしばみ | 作成日時:2022年9月8日 23時