第五十六話 遅刻癖 ページ11
「ここらじゃもう人も居ませんし、口調をといてもらっても大丈夫ですよ。」
振り返りニコリと笑う彼。胡散臭さも感じながら、そうと返すと、満足そうに前へとまた進み始めた。
…見る限りは、外交官だな。話術に長けているし、人の扱いも慣れているだろう。
「せや、コンタミさん、らっだぁはこの件は知っとるんです？」
ゾムのその言葉にええ、と返す外交官、コンタミ。
彼の説明によると、W国とさほど変わらないようで、違法入国者が次々に死んでいっているとのこと。それの対策もしようとしているらしいのだが、なんせ違法であるため、自分達違法で入ってきましたーなんて名乗りあげる人はいるはずもなく。
『解剖までは進んでいるのですか？』
「ええ、まあ。しかしなんというか、原因が全くの不明なんですよ。寄生虫に腹を食い破られたのなら、それの証拠がしっかりと残るはず。でもなにかの生物が存在していたという跡が無い。半分お手上げです。」
『…というと？』
「W国の方々が来て下さりましたから。この国もだいぶ混乱が起きています。これ以上、見えぬ死神に脅えているのも飽きる頃ですし。」
この事件の真相が、死神なのだとしたら、なんて面白いのか。死神の持っている鎌だったら、腹程度切り裂けるかもしれないが。そんなものは空想で、どこかに実態があるはずだ。かの切り裂きジャックだってそうだ。
人々が脅えているそれは空想で、中身にサイコパスが詰まっているだけでそれは同じ人間とは言い難いが、生きているものだろう。
＿
カチ、カチ、と時計の音が鳴り響く。だだっ広い部屋の中、ゾムや私も含め、運営国の幹部達も黙っていた。
「…あいつばり遅いんやけど、何してんの？」
沈黙を破ったのは、黄色のフードを羽織った男性だった。
訛った口調は、どこかこちら側の言葉遣いで。こちら側の生まれなんだろうか。
彼の言葉を合図に、どっと皆が喋り出す。寝てるんじゃないのとか、呼んだんだけどね、とか。
この場に唯一居ない、運営国総統。ゾムも呆れてふわあ、と欠伸をした。
ドン、と扉が開かれる。わりーわりーと、扉を開けて来たのは青のニットを被った男性だった。
謝罪しろ謝罪ーと、黄色のフードの人が茶化すと、割と真面目な顔ですんませんした、と謝られる。一応いえ、大丈夫ですよと首を振っておいた。
…まあ、何事にも遅刻は厳禁だしな。
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五角形レンガ - すっげぇ、、、いや、感動でしかないです、凄すぎませんか！？ (8月12日 10時) (
レス) @page29 id: 142fcb5a32 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑 - 神作品、、、ッッッッ (2022年12月19日 12時) (レス) @page29 id: 9753754a57 (このIDを非表示/違反報告)
はしばみの揚げ物(プロフ) - 鴉さん» お！！そうですそうです！！！！いやあ知ってる人いた………！！！！！ (2022年10月19日 18時) (レス) @page14 id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
鴉 - 作者様！！！！59話の夢主さんが言っている小説ってメディウムですよね！！！！ (2022年10月19日 18時) (レス) @page14 id: cdf302c4aa (このIDを非表示/違反報告)
GuriGura(プロフ) - う‘‘ぁ‘‘ッ、、、、、、、、、さ‘‘い‘‘こ‘‘う‘‘ッ‘‘、、、、、、、、、 (2022年9月25日 8時) (レス) @page29 id: b9eb3e9d2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はしばみ | 作成日時：2022年9月8日 23時
