第七話 ままごと ページ9
静かに本を読んでいると、扉が軽くノックされる。短く返事をすると、開かれる扉。
その向こうには、エーミールが立っていた。
『…、何か用かしら。』
なんだと思い、視線を本へと戻す。
なんとも、昼食の時間だとか。わざわざ言い来てくれたのはありがたいが、彼らと共に食べる道理もない。
「その…グルッペンさんは、総統命令だ、と…。」
『…横暴さは変わらないわね。』
しおりを挟み、本をパタンと閉じた。
ああ、せっかく淹れた紅茶が冷めてしまう。
『…そこに突っ立ってないで、どいてちょうだい。行くんでしょう？』
「あ、あぁええ。はい…。」
彼も、相変わらずね。
私の前で動揺する所は、てんで変わっていない。
＿
食堂へ着く。エーミールとは、少し離れて歩いていたから変には思われないだろう。ゾムに横座ってと言われたが、無視して端の方の席に座る。
「大変だねえ、Aも。」
『…そう思うなら何とかしてちょうだい。』
神の文字を刻んだ布を顔に巻いた、軍医のしんぺい神。
以前から彼とはよく話していたが、私の味方かと言えばそうではなかった。中立、という言葉がピッタリで。
別に彼を物凄く信用に置いてる訳でもないけれど。
「…なぁんか、前より元気無くなったね？」
『そうかしら。毎日付き纏われていたらそうなるかもね。』
「はは、勘弁してやってくれな、あいつらもAを考えてやってんだから。」
『…なら無神経にも程があるわね。どう考えたらああなるのか私には分からない。』
"必要以上に関わるな"、と答えは私から教えているのに、国語のお勉強のように別の答えを彼らは求める。
くだらないことを繰り返すだなんて、馬鹿馬鹿しい。ままごとの方がよっぽど有意義だわ。
「…、そっか。まあ、それはAの自由だし。そうしたいって思ったんなら、俺は止めないよ。」
『…そう。』
厳密には、そうせざるを得なかっただけだけれど。
あの件がなかったのなら、私はもっと、笑えていたのかもしれない。
「＿では諸君、食事を始めたまえ。」
総統閣下の低い声が響く。それと同時に、皆がご飯を食べ始める。
カチャカチャと、食器の音がうるさく聞こえた。
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はしばみの揚げ物(プロフ) - 霜華さん» (レスつけてなかったです…！！！)はしばみよりすごい作品を理解してるかたですね…！？？！？更新ゆったりまったりですが頑張ります！！！ (2022年8月17日 20時) (
レス) id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
霜華(プロフ) - 常に冷静沈着で俯瞰し、諦観している感じの子が大好きマンだから読んでて楽しいです…！あとメンバーの性格(？)が色濃く表れていて好きです！更新頑張ってください！！ (2022年8月17日 19時) (レス) id: fd554933f3 (このIDを非表示/違反報告)
はしばみの揚げ物(プロフ) - ロックマさん» わあ！！ありがとうございます…っ！！！頑張ります！！！！ (2022年8月16日 15時) (レス) id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
ロックマ - むちゃくちゃ好きですこの作品!!!!! これからも頑張ってください (2022年8月16日 12時) (レス) @page19 id: 7ddd684455 (このIDを非表示/違反報告)
はしばみの揚げ物(プロフ) - イナリさん» こういう系のお話を書きたかったので…！！ノリと衝動で書いたので、足らない部分があるかもと思っていましたが、そう言ってもらえて嬉しいです！！(更新頻度はバラバラです生きてる時もあれば泥みたいになってる時もあります…笑)ちまちまと更新頑張っていきます！！ (2022年8月15日 20時) (レス) @page16 id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はしばみ | 作成日時：2022年8月13日 18時
