第六話 腹の底 ページ8
廊下をカツカツと歩いていると、突然後ろから目を塞がれた。だーれだ、と甘い声。
声で分かるが、ゾムだろう。肘打ちをすると、「うわっ」と声を漏らした。
「ふ、ひひっ、ええ反応するやん」
『………。』
近づかないでと言ったはずだけれどと言うと、ええやんちょっとぐらいと駄々をこねる。
正直彼もめんどくさい人第2号だが、コネシマほどではない。
「なぁ、そんなことよりもさっきの書類！終わらせられたんやで！な、褒めて褒めて」
『…はぁ、そう。それは良かったわね。その調子で精進しなさい。』
「……。なんか違う、んー。」と、彼が言う。どう褒めろというのだ、逆に。
私やる事あるからと、再び元の道を歩き出す。カツカツ、カツカツ。コツコツ。
『…どうしてついてくるのかしら？』
「え？ど、どんな仕事ぶりか見たくて？」
監視のつもりかしら。
彼のつけている耳のインカムを見る。赤いライトが、こちらを見ているみたいで気味が悪かった。
『…ただ読書をするだけよ。邪魔になるから部屋まで着いてこないで。』
「えー。邪魔せんから、黙っとく！」
…存在が邪魔と言っているのが分からないのだろうか、この人は。
コネシマの次にめんどくさいと言ったが、この人の方がめんどくさいかもしれない。
余計に絡んで、仲直り、みたいな。
『どういう意図かは知らないけど、インカムの録画機能、着いてるわよ。あと、私は誰かとお喋りしてたいとは思わないわ。互いに機嫌を損ねる前に失せてちょうだい。』
「…やって、
やって、Aに喜んでもらいたいやん…。い、今のAは、なんや楽しくなさそうやもん…。」
しょも、と言わんばかりに俯いて、人差し指どうしを交差させる。
楽しくなさそう、ね。
『私が喜ぶことは"あなた達とは無駄に関わらず、静かに暮らすこと"よ。
あなた達が関わる中に、私の幸せはない。』
なんだか、気分が悪いわ。
彼は時折、私の腹の底をついてくるような発言をするから。
楽しくない？嬉しくない？そんなこと知ったこっちゃない。
そんなもの、あの日からずっとそうでしょうが。
何もかもが遅すぎるの、あなた達は。
「…おれは、Aを元気にさせたいねん…。」
歩いていく中、私の背中にその言葉が投げかけられた。
大きなお世話だ、まったく。
私に必要のないものを与えないでくれ。
与えられて喜んで裏切られるより、元から何も無い方がいいだろう。
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はしばみの揚げ物(プロフ) - 霜華さん» (レスつけてなかったです…！！！)はしばみよりすごい作品を理解してるかたですね…！？？！？更新ゆったりまったりですが頑張ります！！！ (2022年8月17日 20時) (
レス) id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
霜華(プロフ) - 常に冷静沈着で俯瞰し、諦観している感じの子が大好きマンだから読んでて楽しいです…！あとメンバーの性格(？)が色濃く表れていて好きです！更新頑張ってください！！ (2022年8月17日 19時) (レス) id: fd554933f3 (このIDを非表示/違反報告)
はしばみの揚げ物(プロフ) - ロックマさん» わあ！！ありがとうございます…っ！！！頑張ります！！！！ (2022年8月16日 15時) (レス) id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
ロックマ - むちゃくちゃ好きですこの作品!!!!! これからも頑張ってください (2022年8月16日 12時) (レス) @page19 id: 7ddd684455 (このIDを非表示/違反報告)
はしばみの揚げ物(プロフ) - イナリさん» こういう系のお話を書きたかったので…！！ノリと衝動で書いたので、足らない部分があるかもと思っていましたが、そう言ってもらえて嬉しいです！！(更新頻度はバラバラです生きてる時もあれば泥みたいになってる時もあります…笑)ちまちまと更新頑張っていきます！！ (2022年8月15日 20時) (レス) @page16 id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はしばみ | 作成日時：2022年8月13日 18時
