第四十二話 傷心 ページ44
(sn side)
Aが、どんなことをされたのかは、聞かなくてもわかるほどだった。
酷い量の痣、擦り傷、鬱血痕。
正直、吐いてしまうかと思った。
全身に及ぶその傷を顧みず、彼女はE国を滅びの道へと繋いだ。巻き込まれるかもしれない爆破すら、自分を犠牲にして。
目の前で駄々をこねる彼女にダメだと言葉を返す。
点滴は、彼女が医務室に運ばれてからずっとしている。さすがに外していいだろうと彼女が勝手に外そうとするので、慌てて止めた。
それでも何となく落ち着かない様子で、色んな人が怪我の治療を求めて入ってくる度に、彼女は頻りに扉の方を見ていた。トントンが来た時は、なんとなく期待の色を浮かべて。
いわゆる職業病というものだろうかと苦笑する。今まで大変な量をしてきた中で、怪我をするとやはり周りも気を使うのだろう。彼女がトントンへ書類を欲すると、Aは絶対安静やと言われて。
『……暇だわ。』
「たまにはこういう日もあってええやろ？」
『…私、この状態で1週間も寝てたのよね。じゃあ書類も』
「ダメです」
『………。』
さっきからこの一点張りだ。間隔をあけては彼女はそう聞いてくる。
「暇なら本でも読む？医療の本しかないけど。」
『難しい言葉ばかり見ていると頭が痛くなるもの。専門用語が多すぎてあれは読めたものじゃないわ。』
「えぇ、酷い言いようやなあ。」
からからと笑うものの、彼女は面白くなさそうに頭を枕へと預けた。少し寝るわ、と。
うむ、そうしなさいと返事をするまもなく、彼女からは寝息が立った。
疲れているんだろう。今はぐっすり休んで欲しい。
なんならこれからもずっと、無理をしないで欲しいと、心から思う。
A。君は、君が思っている以上に傷ついてるんだよ。空いた窓から風が吹き込んできて、Aの髪を揺らした。静かに寝ている姿は、薄ら不気味さすら覚えて。
苦笑を漏らし、視線を机へと戻した。
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はしばみの揚げ物(プロフ) - 霜華さん» (レスつけてなかったです…！！！)はしばみよりすごい作品を理解してるかたですね…！？？！？更新ゆったりまったりですが頑張ります！！！ (2022年8月17日 20時) (
レス) id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
霜華(プロフ) - 常に冷静沈着で俯瞰し、諦観している感じの子が大好きマンだから読んでて楽しいです…！あとメンバーの性格(？)が色濃く表れていて好きです！更新頑張ってください！！ (2022年8月17日 19時) (レス) id: fd554933f3 (このIDを非表示/違反報告)
はしばみの揚げ物(プロフ) - ロックマさん» わあ！！ありがとうございます…っ！！！頑張ります！！！！ (2022年8月16日 15時) (レス) id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
ロックマ - むちゃくちゃ好きですこの作品!!!!! これからも頑張ってください (2022年8月16日 12時) (レス) @page19 id: 7ddd684455 (このIDを非表示/違反報告)
はしばみの揚げ物(プロフ) - イナリさん» こういう系のお話を書きたかったので…！！ノリと衝動で書いたので、足らない部分があるかもと思っていましたが、そう言ってもらえて嬉しいです！！(更新頻度はバラバラです生きてる時もあれば泥みたいになってる時もあります…笑)ちまちまと更新頑張っていきます！！ (2022年8月15日 20時) (レス) @page16 id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はしばみ | 作成日時：2022年8月13日 18時
