第二十二話 殺意 ページ24
『さあ、殺してみなさい。私は抵抗しないわよ。』
両手を広げ、男にそう言う。脂汗をだらだらと流している男は、焦点がまるで合っていない。
男が、鞘にしまっていた剣を抜き取る。「おい！」とコネシマが声を上げるも、聞こえていないようだ。
酷い喘鳴が鳴る。ガチガチと、歯を鳴らす男。
なんて憐れなんだろうと、片眉を上げた。
『殺してみなさい、目の前の女を。無抵抗な女を。
その剣ではらわた引きずり出して、形が無くなるまで切り刻みなさい。それがあなたには出来るのよね？さあ、早くしなさい。焦らされるのは好きじゃないの。』
男が、剣を振り上げる。目は物凄く、血走っていた。
『さあ、早く殺しなさい。さあ！早く！
殺せ！！』
「はあっはぁっぁ、うあﾞあああっ！！」
「やめろ！」
次に聞こえた音は、鈍い音でも、悲鳴でもなく。
銃声と共に、金属が高鳴る音がした。
反射で瞑った目を開く。男は、地面に伏している。そのまま気絶しているのか、泡を吹いていた。
「だ、大先生！」
「鬱！お前…、」
入口で、見慣れたスーツの男が立っていた。くたびれた、その顔には焦りが浮かんでいる。彼が握っている拳銃の銃口は、薄く煙を上げていた。
彼が、撃ったのだ。男が持っていた剣に弾丸を命中させたのだ。
冷や汗をかいた彼は、拳銃を投げ捨てこちらへ走ってくる。
次に体に走ったのは、温もり。
『……。』
「よか、よかったあ…Aちゃん、死んでまうかと、おもた…」
彼の声は涙ぐんでいた。ぎゅっと背中に回された手は、震えていて。
『…暑いわよ、鬱先生。』
「ちょっとぐらいなら、ええやろ…？」
『…はあ。
チーズケーキ、奢りね。』
「っいくらでも買うたるわ、そんなん…っ！」
彼は、涙を流しながらも、笑っていた。
『…いい加減泣くのをやめなさい。』
「えぇ、やってぇ…。」
A、とコネシマに名前を呼ばれた。目線を送ると、シャオロンと同じように、顔を顰めていた。
今にも、泣き出してしまいそうな顔で。めんどくさいこと言われそうだと、そう思った。
「…もうちょっと、自分を大切にしいや、お前は。」
『……。』
言われた言葉は意外なものだった。
「せや、酷すぎんねんお前、ほんまに、死ぬんちゃうかって」
顔を俯かせ、目元を擦るシャオロン。…この状況みたら、また変なやつが困惑しそうだな。
はあ、とため息をついた。チーズケーキが出来たと、シェフがこちらに声をかけた。
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はしばみの揚げ物(プロフ) - 霜華さん» (レスつけてなかったです…！！！)はしばみよりすごい作品を理解してるかたですね…！？？！？更新ゆったりまったりですが頑張ります！！！ (2022年8月17日 20時) (
レス) id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
霜華(プロフ) - 常に冷静沈着で俯瞰し、諦観している感じの子が大好きマンだから読んでて楽しいです…！あとメンバーの性格(？)が色濃く表れていて好きです！更新頑張ってください！！ (2022年8月17日 19時) (レス) id: fd554933f3 (このIDを非表示/違反報告)
はしばみの揚げ物(プロフ) - ロックマさん» わあ！！ありがとうございます…っ！！！頑張ります！！！！ (2022年8月16日 15時) (レス) id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
ロックマ - むちゃくちゃ好きですこの作品!!!!! これからも頑張ってください (2022年8月16日 12時) (レス) @page19 id: 7ddd684455 (このIDを非表示/違反報告)
はしばみの揚げ物(プロフ) - イナリさん» こういう系のお話を書きたかったので…！！ノリと衝動で書いたので、足らない部分があるかもと思っていましたが、そう言ってもらえて嬉しいです！！(更新頻度はバラバラです生きてる時もあれば泥みたいになってる時もあります…笑)ちまちまと更新頑張っていきます！！ (2022年8月15日 20時) (レス) @page16 id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はしばみ | 作成日時：2022年8月13日 18時
