三日目、さよなら。 ページ23
トントンは、急いでW国へと戻った。運営国からこの国まで、随分と遠かったものの、喜ばしいのか報告があった。グルッペンが、居ると。
城壁の門を潜り、すぐそこに居たのは。
金髪の女。そいつが、グルッペンの頭に銃口を向けていた。
「………は、」
状況が、掴めなかった。その女は周りを兵士に囲われているにも関わらず凛とした表情で。あの位置だと、狙撃しようにも下手すればグルッペンに当たる。嫌な汗が、トントンの頬を伝った。
「要求がある。それを呑むのなら、こいつを解放してやる。」
圧巻されるほどの、低い声。まるでグルッペンが喋っているかのように、酷く重くて。
女がそう言うと、周りの兵士もそれ以上に警戒して。持っている槍が、ぎらりと太陽の光に反射する。
「呑まないのなら、今ここでこいつを殺す。」
グルッペンの表情は、見えなかった。
「っ、グルッペン！！」
トントンの喉からは、荒れた声が出た。灰を吸ったせいか、息苦しい。げほっとひとつ咳をした。
青と猩の双眸が、こちらを見る。その瞳は輝きすらも失ってはいなかったが、何かを悟ったような、知ってしまったような、落胆。
にこりと、その顔が笑う。いやに、背筋が凍った。
「頼む、要望はなんだって聞く、やから、グルッペンを解放してくれ…！」
「トントン、」
「頼むがらﾞっ」
喉が、焼けるように痛い。トントンは酷く咳を吐く。
金髪の女が、冷めた猩でこちらを見た。
「……、それほど大事か、この男が。」
その言葉が皮肉にも、聞こえたような気がした。
「……ああ、あァﾞはははっ、ああもう、笑わせるな。」
女は発狂した。
「要求だの面倒だ、茶番も全て終わらせよう。W国に復讐を、グルッペン･フューラーに罰を、
ミハイル・フューラーに天誅を！！」
血が、舞った。
女は、首を自らで切った。小さなナイフからは、思えないほどの切れ味の良さで。
嫌に、脳裏に残った。女の表情も、グルッペンの表情も。
グルッペンに、血が吹かかる。地面へ伏せた女のグルッペンは見下ろし、次の瞬間に目を見開いた。
「…Aッ！おい！！目を閉じるな！！」
A
A？
グルッペンが、女の頬を何度も叩く。目を閉じてしまわない様に、出血も身にまとった布を押し付け止めようとするも、滲むばかりで。
A。
「……A、」
…俺は、俺達は。
何を、忘れている？
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かきくけの(プロフ) - すごい、作品ですね…(小並感)久しぶりに神作品に会えました！ (2022年10月15日 7時) (
レス) @page24 id: e7af349437 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのサメ(プロフ) - 神様ですか？神様ですね。こんな、素晴らしい作品を作っていただき、ありがとうございます！ (2022年10月6日 8時) (レス) @page24 id: fed687ffc2 (このIDを非表示/違反報告)
月の光 - おっと神のような作品を見つけた。オークションものは結構あるけどネタ物が多いからこんな感じのすごくうれしいし好みです！！応援しています！ (2022年10月1日 22時) (レス) @page5 id: f3c01cad39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はしばみ | 作成日時：2022年10月1日 16時
