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「A、吉沢さんって呼んでるの?」


「うん」


「吉沢さんはAの事なんて呼んでるの?」


「……Aさん」


「珍しいね、Aが共演した人から苗字で呼ばれるの」


「ね、吉沢さんくらいじゃない?」



頭の片隅で、2人の会話を聞く冷静なもう1人の俺がいて。
そんな珍しいの? みんな違うの? なんて呼んでるの? って言っている。



「Aも珍しいね、共演者を名字で呼ぶの」


「あー、うん」


「なんで?」


「いや、何て言うか……」



ばーちーさんの問いかけに、俺をちらっと見て、少し答えにくそうにする彼女。



「前に名前で呼んだら嫌そうだったから」


「え? 吉沢さんそうなの?」



彼女に名前で呼ばれた事なんてあったっけ?
ふわふわする頭をなんとか回転させてみるけど、そんな記憶は一切思い出せない。



「そんなこと、あった?」



失礼を承知で聞き返すと、彼女は困ったように笑って



「共演した時に、1回だけ亮君って呼んだことあるんです。そのとき眉間に皺寄せて、スルーされちゃって」



と言った。



え、え、え
それいつ? いつの話? そんなことあった?
共演したときのことをどんなに考えても、全く思い出せない。
思い当たる節もない。


……でもそんなことがあったら、確かにもう呼べない。
寧ろ俺なら話しかける事も出来なくなるかもしれない。


それでも話しかけ続けてくれた彼女の優しさに、申し訳なくなると同時に嬉しくて。



「ごめん、思い出せないんだけど……うん、嫌じゃないから」


「え?」


「あの、亮って呼んでくれていいから。むしろその方が嬉しい」



素面では絶対言えないけど、お酒の力を借りてそう伝える。
彼女は最初ビックリした顔をしたけど、



「じゃあ亮君って呼ぶから、私のこともAさんじゃなくてAって呼んでね!」



と笑ってくれた。



このやり取りを見ていたばーちーさんは、まるで親のような目で優しく見守っていてくれて。
心の中でばーちーさん、ありがとうって呟いた。





それからは亮君って呼んでくれていたAだったけど、お酒が進むうちに



「亮ちゃん」



と呼び方が変わっていた。
別にいいんだ、どっちでも。
Aとの距離が近付けば、なんでも。

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設定タグ:芸能界 , 吉沢亮 , 菅田将暉   
作品ジャンル:タレント
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なーさん(プロフ) - リクエストです。アオハルTVとぐるナイ出演が見たいです。 (2019年3月5日 15時) (レス) id: 9a29600662 (このIDを非表示/違反報告)
リオ(プロフ) - 寧音さん» 寧音さん、ご報告ありがとうございます。こちらも確認させていただきます。 (2018年10月17日 20時) (レス) id: 17091ee08c (このIDを非表示/違反報告)
寧音(プロフ) - なぜか名前が反映されず、人1のままになってしまいます。私側の故障なのか分からないので一応報告させていただきました。 (2018年10月17日 16時) (レス) id: d9ed61c0ad (このIDを非表示/違反報告)
リオ(プロフ) - ユーロさん» かしこまりました、しばらくお待ちください。 (2018年10月17日 9時) (レス) id: 17091ee08c (このIDを非表示/違反報告)
リオ(プロフ) - LINAさん» 修正しました。ご指摘ありがとうございます。 (2018年10月17日 9時) (レス) id: 17091ee08c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リオ | 作成日時:2018年10月9日 9時

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