職業：女優２

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「由紀は自慢のお姉ちゃんだよ！」


「由紀、大好き！」



沙紀の口癖。
いつだって私を認めてくれて、愛してくれる大切な双子妹。



「由紀はお姉ちゃんだから、我慢してね」


「沙紀は妹なんだから、譲ってあげなさい」



両親は同じように愛情は注いでくれたけれど、全てが平等とはいかなかった幼少時代。



「由紀ちゃんと沙紀ちゃんって、双子なのに似てないね」


「由紀ちゃんももうちょっと愛想がよかったらいいんだけどね」


「由紀ちゃんより、沙紀ちゃんの方が可愛いよ」


「ごめん、俺沙紀ちゃんの方が好きだから」



そしていつでも愛されるのは沙紀。
当たり前の話だ。
沙紀は可愛くて、明るくて、甘え上手ないい子なんだから。
でもそれを疎ましいと思ったこともないし、沙紀を嫌いになったことなんて１回もない。
私も沙紀が大好き。



「由紀ちゃんは頑張ってるし、可愛いよ」



だから初めてだったんだ。
私の事をそう言ってくれた人は。
沙紀じゃなくて、私を見てくれた人は。



でも神様もいつだって沙紀の味方。



「ねぇ由紀？ 私、颯大君が好きなんだ」


「……うん。頑張ってね、沙紀」



そうか。
そうなのか。
じゃあ私はお姉ちゃんだから、諦めなきゃね。



「俺は由紀ちゃんが好きだよ」


「私は、好きじゃない」



これでいい。
これで、いいんだ。



それなのに、なんで



「由紀も颯大君が好きなんでしょ！？ 我慢しないで言ってよ！ 寂しいよ！！」


「沙紀……」


「颯大君の事好きだけど、由紀の方が大事に決まってるじゃない！！」



私を抱き締めて、涙を流して。
沙紀が泣いてるところ、久しぶりに見たな。



「ごめんね、沙紀」


「……なんのごめん？」


「大好きだよ、沙紀」


「私も大好き」



沙紀をぎゅっと抱き締めて。
私も涙を流して。
２人で笑いあった。



「颯大君、由紀のこと泣かしたら許さないからね！！」


「わかってるよ」



あぁ、私は幸せ者だな。

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