奇跡の花 2

８７話 ページ48

コ「じゃあ、今こうなっている原因はわかるか？」

コウが再度訊ねるも、これにはミキエルさんも首を振った。呪いは感情で暴走することが多い。当人以外にわからなくて当然かもしれない

レ「……」

なぜかレイがうつむいていたのが気になった。さっき実際に対峙したのはレイだ。何か心当たりがあるのかもしれない

聞いてみようかと迷ったけれど、結局やめた。普段は子供っぽくたって、彼のいざという時の判断は並みの大人より冷静だ。そこまで重要じゃない情報か、彼女にとって触れられたくないことなのだろう


誰にだって知られたくないことはある

特に呪いを持つ人は、その傾向が強い


私なら、あのことは誰にも触れられたくない。その時間を共有して、支えてくれた人なら別だけれど



そこまで考えて、あることに気が付いた


彼女に呪いが憑いた時期、ミキエルさんも近くにいたのでは？
呪いが取り憑くのは、感情が高ぶって大きな力を欲したときがほとんどだ。それほどまでに追い詰められていたスカイちゃんを、ミキエルさんが放っておくわけがないと思った


貴「ミキエルさん。2年くらい前にスカイちゃんが落ち込んだり、悩んだりしていたことはありますか？」

突然の私の質問にミキエルさんだけでなく、レイとコウもこちらを向く。コウは何かを察したような顔をしていた

ミキエルさんは少しとまどって、予想外の言葉を述べた


ミ「A様はあの時のことを知ってらっしゃるのですか？」


＊＊＊


あの時のことはよく覚えていませんが


ただ、水の中に消えていったあの子の姿はまぶたの裏に焼き付いて離れません


何もできない自分が嫌で嫌で嫌で嫌でたまらなくて


翼を出すことを恐れて、彼に嫌われることを恐れて、手を伸ばすことをとまどった弱い自分が


心から嫌いになりました


今も


何も言えないまま、何もできないままで


行き場のない感情を抱えて一人で暴れて


そのたった一言を彼に言えなくて


友達まで傷つけて


誰か




「──────」




その時、わかりました


かつての私が願ったことを


今も求め続けていることを


お願いします、どうか───





ス「私を、罰してください」

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