日常の中の非日常

10話 ページ10

最近、実家とは別に趣味用の家みたいな感じで、色々なコレクションとか、防音の音楽部屋とか、ちょっと寝れるスペースがあるようなマンションの部屋を借りている。




それで、たまに実家じゃなくて、この部屋に帰ってくることがある。




都内の比較的ちゃんとしたマンションで、セキュリティも万全。

隣もかなり離れているし、安心できる。




鍵を開けようと思って鍵を取り出すと、少し先の隣の部屋のドアの前にしゃがみ込んでいる人影が見えた。





具合悪いんだろうか。

若い女性？


助けてあげたいけど、ここに住んでいるのがバレると困るな。


どうしよう。





マスクして、眼鏡して、帽子被れば、むこうも具合悪そうだしバレないか。




そう思って、ゆっくり近づくと、見たことのある横顔が見えた。





京「藤川先生？大丈夫ですか？」






よく見ると顔色が悪い。







「ん？、あ、。京本さん？大丈夫です。ご心配には及びません。」







体が熱い。もしかして、風邪？






京「鍵、貸してください。とりあえず、家入りましょう。」






あ、よく見ると手に鍵を握ってる。






京「すみません。借りますね。」







「申し訳ないです。ありがとうございます。」








あんまり抵抗しなくなった。

心を許してくれたのかもしれない。







ーーー

とりあえず、ベッドには連れて来れたけど、ここからどうすれば。





「もう大丈夫なので、帰ってください。、うつしたくないですし。迷惑かけて申し訳ございませんでした。」






そんなこと言われても、こんなにキツそうなのに放っておけない。





京「大丈夫です。ちゃんとマスクするので。、あ、そうだ。お水持ってきますね。薬は飲みました？」






「あ、私もリビング行くので本当に大丈夫です。」







いや、でも。






「コンタクト、外したいので。」




あ、そっか。それは確かにそのまま寝たら良くない。





京「じゃあ、付き添います。、冷蔵庫勝手に開けても大丈夫ですか？お水取ってきます。」







「それは、いいんですけど。本当に迷惑かけたくないので、帰ってください。」







迷惑かけたくないと言われても、このまま置いて帰るほど薄情じゃないし。

心配だから。






京「このまま帰ったら、心配で心配で夜も眠れないので、その方がよっぽど迷惑です。というか、どうせなら喜んでください。喜んで欲しくてやっていることなので。」

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