二十八話 ページ28
目が覚めたら知らない天井だった。
そして身体を起こし、周りを見て数秒後にここが病院だと知った。
「…はぁぁぁぁあ…」
私は意識を失う前までの事を思い出し、溜息を吐いた。…ただ倦怠感が襲っただけだった。
腕に包帯は巻かれているものの、問題無く動く。体を動かしてみても、特にこれといった痛みも後遺症も無い。つまり、私は無事だったのだ。さしずめ建物に派手に突っ込んだからか目撃者が多く、その内の誰かが即座に救急車を呼んだってところだろう。
…取り敢えず医者か看護師辺りに目覚めましたって報告はするか。
私は気怠げな体を動かし、閉じられている扉をバッと開いた。
扉の向こうは何故か険悪ムードになっている大人四人と子供一人がいた。
「…私こんなに人呼んだ覚えは無いんですが」
私が面倒そうに腕を組みながら一言告げると、五人は静かになった。
五人共、私の知り合いだった。来た理由に尋ねてみると、その一人である沖矢さんは、
「心配ですし、お見舞いに…」
と見舞いの品なのか花を持って告げ、会いたくも無いのに何故かいる安室は、
「探偵の仕事でたまたま病院に来たのですが、貴女がいると聞いて顔を出しに」
と相変わらずの営業スマイルで告げ、仕事はどうしたのかと尋ねたくなる藤堂さんは、
「そろそろ目覚める頃かなと思って」
と相変わらずの温厚そうな笑みで告げ、酒の仕込みとかはいいのかよと私が呆れたおっちゃんは、
「Aが入院したって聞いて俺がじっとしてられるかよ」
とまるで親のようにこちらを心配しながら告げ、五人の中でも一際異質な江戸川ナントカ君は、
「友達のお見舞いに行ったら安室さんがいたから付いてきちゃった」
と無邪気な笑みを浮かべながらも眼鏡の奥の警戒の色が見え隠れさせながら告げた。
いや見舞いに来た人一部おかしい。
「…それで、何故空気が張り付いていたんですか」
その言葉に全員が黙り込んだ。
…成る程、出来れば言いたくはないようだ。下らない理由で喧嘩でも勃発しそうになってたのか？
「…よく分からないけど、喧嘩するなら帰れ。私は休む」
やれやれ、と言いたげに私は肩を落として溜息を吐きながら告げた。ここは病院なのに、喧嘩されても困る。余所でやってくれ、と面倒事を避けるようにくるりと背を向け、先程の病室に戻ろうとした。
「＿＿その前に、我々と事情聴取を受けてもらおうか」
横槍を入れた第三者は、鋭い目付きをさせながら数人で訪れた。
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メランコリスト - Whiskyさん» 個人的にもスコッチさんは好きだったので生かしました。最後までご覧下さりありがとうございます。楽しんでもらえたのなら作者として嬉しく思います。 (2019年8月17日 1時) (
レス) id: 8d9394cd19 (このIDを非表示/違反報告)
Whisky - やっぱりヒロは生きてたんですね！押しなので嬉しいです。すごく面白かったです。 (2019年8月17日 0時) (レス) id: e4b3f2a326 (このIDを非表示/違反報告)
メランコリスト - まゆさん» この作品を見て下さりありがとうございます。続きが気になってもらえるとは…これからも面白いと思ってもらえるよう頑張ります。コメントありがとうございました。 (2019年8月14日 19時) (レス) id: 8d9394cd19 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 面白かったです^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2019年8月14日 19時) (レス) id: 35cf1a0a87 (このIDを非表示/違反報告)
メランコリスト - 氷雨さん» まさか応援コメが来るとは…ありがとうございます。ご期待に添えられるかどうかは分かりませんが、頑張ります。コメントありがとうございました。 (2019年8月14日 2時) (レス) id: 8d9394cd19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：メランコリスト | 作成日時：2019年8月11日 15時
