十一話 ページ11
『先生……そ…に行く』
「…どうする、坊や？」
坊や、と呼ばれた少年…江戸川コナンは考え込むように俯いた。
「尾行もダメ。何も話さないし、警戒心が強過ぎる。…下手に手を出しちゃいけないね」
「会話の内容からすると、何かが直ったから何処かへ行く…と言ったところだろうな」
明るい髪色と糸目。部屋にいる眼鏡をかけた子供とは対照的に背の高い男性である沖矢昴は、人前とは違う声で作戦会議のようなものをしていた。
内容は、盗聴器を仕掛けた少女に対してだ。…プライバシーというものを気にしてはいけない。
そして盗聴器が拾った声は途切れ途切れではあるものの、誰かとの通話の内容を聞き取れた。
「…気のせいにしておくにはどこか怪しいね」
「ああ…それに、彼女に手を出した裏の奴らは悉く消されている」
偶然にしては出来過ぎている。沖矢昴こと赤井秀一と江戸川コナンは考えたのである。これは何かあると。警察として、探偵としての勘がそう囁いているのだ。
「赤井さん、あの人が裏のヤツらから狙われるようになった原因って何？」
「…あくまで噂だが、とても優秀なハッカーらしい。裏についての情報なら何でも持っているし、集められると」
「ハッカー？」
「…しばらく前に大きな組織が彼女を攫うという計画を立てたが…どこから情報が漏れたのか、計画を実行する前にその組織の機密情報がばら撒かれた」
少年はごくり、と唾を飲み込んだ。いつも引きこもっているような特に特徴も無い彼女が、実は恐ろしく情報を持っているハッカーなど想像も付かない。
「…その組織は壊滅寸前にまで追い込まれた」
冗談なら冗談で気にも留めなかったのだが、自分の目の前にいる人物は自分にそんな嘘を平然とつくような男では無い。
江戸川コナンは心して聞いた。
「…他に彼女に手を出した人達はどうなったの？」
「消されるか…全てを奪われた」
実質どちらも一緒だ。しかしどちらも言葉の重みを少年は感じた。
しばらく、部屋は静寂に包まれた。二人の話題の女性がとんでもない人かもしれない、という少年の不安もあったが、女性の盗聴に集中する為だ。
ちなみに盗聴は一般人、しかもただの女性相手に使うのは傍から見ると色々とまずい。
しかし二人がふたりがこうやって焦っているのには理由がある。
確証は無いが、彼女が自分達の追っている組織と繋がっているという情報を手に入れたからだ。
そして数分経ち、盗聴器が壊れた音が聞こえ二人の表情は強張った。
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メランコリスト - Whiskyさん» 個人的にもスコッチさんは好きだったので生かしました。最後までご覧下さりありがとうございます。楽しんでもらえたのなら作者として嬉しく思います。 (2019年8月17日 1時) (
レス) id: 8d9394cd19 (このIDを非表示/違反報告)
Whisky - やっぱりヒロは生きてたんですね！押しなので嬉しいです。すごく面白かったです。 (2019年8月17日 0時) (レス) id: e4b3f2a326 (このIDを非表示/違反報告)
メランコリスト - まゆさん» この作品を見て下さりありがとうございます。続きが気になってもらえるとは…これからも面白いと思ってもらえるよう頑張ります。コメントありがとうございました。 (2019年8月14日 19時) (レス) id: 8d9394cd19 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 面白かったです^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2019年8月14日 19時) (レス) id: 35cf1a0a87 (このIDを非表示/違反報告)
メランコリスト - 氷雨さん» まさか応援コメが来るとは…ありがとうございます。ご期待に添えられるかどうかは分かりませんが、頑張ります。コメントありがとうございました。 (2019年8月14日 2時) (レス) id: 8d9394cd19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：メランコリスト | 作成日時：2019年8月11日 15時
