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アイノウン_2 ページ2

外に出る。春の陽気は、旅の意欲を引き上げてくれるようだ。
レイゼの家兼研究室は高くそびえる丘の上にある。
箒に乗って、ホープフラワーまで行く予定だ。

「あ、待って。旅の前に…わたしの家に寄ってくれない?」
「ん、分かった。」

ミロウの家は、小さいながらもまさに魔女!という雰囲気を醸し出していた。
レイゼは腕を引かれ、家の隣の果樹園に案内される。

「これ!この林檎。常温でもずっと保存できる果実なの。これを持っていこう?」

それは、トルマリンのように透けた色の林檎だった。

「えー…某童話の林檎並みに怪しいよ。大丈夫なのかい?」
「失礼なー!ちゃんとした食料だよ、もう。あげないよー?」
「ごめんごめん。さーてと、大魔女さんに従おうかなー」
「ほらほら、袋出してっ!」

3つほど袋に入れた後、箒に跨った。

「これだけ?食料にもならないんじゃ…」
「薬のつもりで作ったけど、かじっただけで満腹感もあるの。だから大丈夫!」
「うーん…まあ、深く考えないようにしよう。よし、今度こそ行こうか。」

そうして一時間ほど経ったあと、街の駅に着いた。
近未来的な建物の駅で、かなり大きい。

「駅ー?ずっと箒ライフじゃないの?」
「ミロウも少ししか休暇届け出してないでしょ。この駅を乗り継いで行こう。」

しかし駅の玄関まで着くと、大きく電子掲示板に『運転見合わせ』と書かれていた。

「えぇっ?!見合わせ…何で?」
「…駅員さんに聞いてみよ。」

窓口の傍に、目を険しくした駅員が鎮座していた。
二人はあまりの眼光に怖気づいたが、レイゼが率先して訪ねていった。

「あのー…見合わせの原因って何ですか?」
「あぁ…坊ちゃんら、知らないのか?随分と情弱だな。」
「なにをー!消し炭にしちゃいますよ?!」
「そっちの嬢ちゃんはだいぶ過激だな…」

疲れた声をした駅員は、時折小声で親切に教えた。

「アイノウン、今全国で騒乱が巻き起こってるんだ。女王に対する、な…」
「デリート様が?…最近は景気も上がって、物資とか手に入りやすかったのに…一体何が?」
「……王女が隣国に、宣戦布告したんだ。」

「ホープフラワーに…?!」

その言葉を聞き、レイゼはリネットに会う道が途絶えたと、地面に伏せてしまった。

「あー…なんかあったね。だからかあ。王女も大変だぁ。」

ミロウは終始ふわふわとしたまま。

「今や外国に行こうとすると、かなり厳しい審査がある。到底一般人は通過出来ないだろうな。」

「そ、そんな…」

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作者名:mofumegane | 作者ホームページ:youtube.com/channel/UC-31h_OvshlXRHaXmKewceQ  
作成日時:2024年3月24日 23時

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