谷崎家の元妹は (ページ9)

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『有りませんねぇー？やっぱり鳴らしませ
ん？』

「えぇぇ。見つかったら帰らなければならない
のだろう？そうなれば君と私は離れ離れだ。」

耐えられる？そんな悲劇...と芝居がかった口調でいう酩酊危険男。正直以外だ。さっさと手を出して帰るかと思っていた。ていうか、

『携帯何処にあるか知っていますよね？』

「ん？真逆そんな訳」
と、酩酊危険男

『今更シラを切るつもりですか？』
ジッと男を睨みつけて言う。現在警戒度MAXだ本音を言うと恐ろしい。手を出したかった訳でもなく、家にいたがる理由って何よ

「そんなに怒らないでおくれ。見つけたら追い
出されると思ったのだよ。騙して悪かった。済
まないね。」
はぁと溜息をつき、眉を下げ困り顔を作る男

「ただ、もう少し君との時間を楽しみたかった
だけなのだよ。次何時君が会ってくれるか分か
らないしね。」

『そう、ですか。』
やっぱり危険性は無さそう。ポートマフィア元幹部ならこれぐらいの演技は簡単なのかもしれないけど、そもそも私が狙われる理由がない。
これ以上は考えても分からないし、怯え損だ。

『私は、助けてくれた人を夜中に外に放り出す
程性格悪くはありませんよ』

『ありがとうございました』

考えても分からないなら考えなきゃいい。
取り敢えず思っていた事をそのまま口に出してみた。

「否、私こそ助かったよ。あのまま行き倒れ、
酔って1人寂しく死ぬだなんてのは御免だから
ね」
一瞬。ほんの一瞬だけ。さっきまでの食えなさそうな笑みを崩して目を見開いたかと思うと、直ぐにヘラヘラと気に入らない顔に戻った。

『別に』

こういう時、何て反応すれば良いのだろうか。
もうずっとアイシテくれる人達としか話してないから分からない。

今の返事冷たかったかしら。どうやって1晩過ごそう。友達何ている訳ないし、話すこと何て思いつかない。

ふと、何処からか猫の鳴き声が聞こえてきた気がした。

『猫はお好きですか？』

「猫？」

『はい。猫です。』

嗚呼、私は何をやっているのだろうか。
脈略無さすぎない？空気が辛い。辛すぎる。

「どちらかと言うと好きだよ。嗚呼、まだ名前
を聞いていなかったね。君は猫が好きなのか
い？」

『Aです。まぁ。私も好きか嫌いなら好き
って位です。貴方は？』

「私の名は太宰。太宰治だよ」

「よろしくね。Aちゃん。」