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太宰くんには自○癖がある。それを知ったのはあの日から数日経った頃だったかしら。
そう云えば、心中がどうとか言われたことがあったような...
「だってAちゃんの部屋、居心地が良くて
死にたくなってしまうのだよ」
ヘラり、巫山戯た事を抜かしやがる太宰くん。
そもそも、この部屋の何処が居心地が良いのか。必要最低限の家具。色だって白と、時々黒がある位だ。殺風景過ぎる。
敢えて言うなら太宰くんの血が、部屋の1部に飛び散っている。けれど、これは寧ろ居心地を悪くさせる要因だ。
『じゃあ来ないで下さい。』
冷たいなぁ、と拗ねたような声を出している太宰くんを放置して、床に座ってドライヤーを手に取る。
髪を乾かしながら視線を彷徨わせると、此方を見つめていた太宰くんと目が合った。
ここ暫く太宰くんと過ごして分かったこと。
自○癖がある。あまり掴みどこかない。時々とても冷たい目をする。かと思えば優しくなったり、子供のようになったりもして。
***
気がつくと、長い髪は殆ど乾いていた。
近くに置いていたヘアミルクを取って髪に馴染ませると、甘い香りが広がった。
後は、ブラシ...あぁ洗面所に忘れてしまった
取りに行こうとして、ふと、太宰くんの方に視線をやった。急に静かになったのが気になっただけなんだけれども。
「どうしたんだい?急に見つめてくるとは」
微笑んで問うてくる太宰くん。あぁ、やはり。
洗面所に向かおうとしていた足を、台所に方向転換させた。
冷蔵庫から、ミネラルウォーターを取り出してコップに注ぐ。
『顔色が悪いです。』
それだけ言って、太宰くんに差し出した。
ポカンとしている。
『いくら、薬に自○趣味で薬に耐性があるとい
ってもあれだけ飲んで平気な訳ではないでしょ
う?』
さっき散らばっていたのは錠剤だけでは無い。
瓶も数十本転がっていた。
まぁ、死にはしないんだろうけど。
「すまないね。」
眉を下げ、申し訳なさそうな戸惑った様な顔をしている。
人の家で自○未遂をしても平気な癖に、気の使い方が可笑しい。
『別に良いですけど。それより明日から私出掛
けるので来られても本当に困りますからね。』
目線を下げて呟いた。
「それは...」
太宰くんが小さく声を出した。
彼はきっと頭がいい。気付いているのでしょうね。
『野暮な事聞かないで下さいね?』
薄く笑って牽制した。
最低な私の事。自分の口からは、彼には伝えたくなかった。
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作者名:とと | 作成日時:2019年9月10日 19時