緑の楽園1-5 ページ32
ガサｯ、と風が木の葉を運ぶ音が響く。
あぁ、珍しい今日は1人か…。
いつも通り、村にやってきた刺客を殺し、燃やして証拠を消す。それだけだ。
殺す術は繰り返し行うこの行為でいくつも得た。どうすれば静かに、かつ効率がいいように終わるか…どうすればバレないか…。何度も何度も村の人間がこの楽園から離れていかないように罪を重ねた。
男の背後に小石を投げて音を立てる。振り返り男が其方に気を取られていたらもう終わり。
「さよならや」
男の後ろへ一気に詰め寄って口を塞ぎ、頸動脈を斬る。
さて…まずこの血を隠さないと…。いやその前にこのゴミを燃やさしてからか。
ひとまず1度教会に行こう。そう思って死体を布で包んでいると背後から突き刺すような視線を感じる。
「いけませんねぇ、枢機卿殿」
意識を失う前に聞こえた声を忌々しく思う。
1人の時点でおかしいと思うべきだった。慣れたことに気を抜いていたのか。
早く、隠さないと…
俺の…俺だけの楽園が。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
子供の泣き声が聞こえる…あぁ、この声の子は村の端の家の女の子だ。どうして泣いているの？ほら、話してごらん。
同時に、よく嗅いだ焦げた匂いと、熱を感じた。
燃えてる。何かが…。ここは何処だ。
俺の、俺の！！
「っ！」
覚めた頭を上げ1番初めに見たのは村人が惨殺された姿だった。
燃える家、そこに放り込まれた死体。
ケラケラと下衆に笑う王国の兵たちに摘まれるように持ち上げられたのは、さっき泣いていた女の子。
「離せ！その子を離せ！！」
違う
兵の1人がこちらをみると顔を歪めるように笑い、燃える家へと進んでいく。
「おいやめろ…やめろ…！」
違う。
まるで遊ぶように女の子を炎の前に掲げた。
ゆっくりと、女の子がこっちを見た…声が出ていない、けれどしっかりと俺を見て。
(たすけて)
こんなの、俺の楽園じゃない
燃える炎、焼ける肉の匂い、人の泣き叫ぶ声。受け止められない現実に俺はただ呆然と燃える火を見ていた
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きむち鍋(プロフ) - 紫さん» コメントありがとうございます。セリフ調になっているのがとても可愛らしいですね！ (2020年12月30日 18時) (
レス) id: 4e029fbece (このIDを非表示/違反報告)
紫 - os 「続きが気になるめう〜」gL「頑張ってくれ！」紫『面白かったです♪､､、せーの』「「『これからも宜しくお願いします！』」」 (2020年5月9日 23時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
きむち鍋(プロフ) - ノリシロさん» コメントありがとうございます！ こういったジャンルは初めてですので至らぬ点もありますが、のんびりと更新させていきますので、ゆったり楽しんでいただけたら幸いです！ (2019年2月25日 11時) (レス) id: 82753cc095 (このIDを非表示/違反報告)
ノリシロ(プロフ) - 設定や一つひとつの表現に人物たちの感情が滲んでいる感じがしてすごく好きです！！
更新楽しみにしてます、頑張って下さい！ (2019年2月24日 14時) (携帯から) (レス) id: 2e9ea22d03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きむち鍋 | 作成日時：2018年8月28日 20時
