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5話 ページ5

演練会場はとても騒がしかった。
またいつものように 少しの自由時間を与えられて、部隊のメンバーは各々散っていく。
私も少しだけぶらぶらと歩くことにした。

会場には色々な刀がいる。
同じ容姿の刀があちこちで見られるのは変な感じだ。

そして、その中でも "私"は一際目立っていた。

付け加えておくと、目立っているのは、少し前にいる、 同位体の"私"である。
一様、Aはレアのくくりに入る刀らしい。
しかし、オーラが違うからか 、私とは異なり
圧倒的存在感を放っている。

恐らく彼女達の本丸はこれから戦闘なのだろう。
刀を腰にさし、堂々と胸を張り、ころころと表情を変えながら、楽しそうに仲間達と話している。そして、精神統一を図ろうとしているのか、一度目を閉じて息を吐いた姿に
私は衝撃を受けた。

あれが、私?
同じだなんて、思えない。いや、同じだからこそ強く感じる劣等感。



私は長いことじっと見つめてしまっていたらしい。
ふと、目を開いた彼女とパチリと目線が合わさる。
すると、相手は少しだけ驚いた顔をして、部隊の仲間に一言告げて、
私の方へと 駆け寄ってきた。

え、こっちに来てる? そう思っている間に
彼女は既に目の前に迫り、私はどうしよう と、あたふたしてしてしまう。

「あぁ! 初めて会ったわ!別本丸の私‼」

パァーと効果音がつきそうな笑顔で、
手を握られて 宜しくね!と、ブンブン大きく腕を振られた。
私は酷く困惑して、
「えっ、あ、ぅ‥」
と、母音しか発することが出来ない。
ていうか、視線が集まる。

そんな私の様子に 目の前の彼女は眉を寄せて首を傾げた。

「なぁに? 私にしては元気が無いわね。」
「‥‥!」

心臓を握られた気がした。
何気ない一言。でも、今の私にはそれすらも凶器だ。
俯き、思わず口を噤んでしまった私に、彼女は「ねぇ‥大丈夫?」と尋ねてくる。

何にも応えないでいると、そこに、
「ちょっと、それくらいにしときなよね。相手、困ってんじゃん。」
と、声がかった。

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あめみや - 急な一期一振に口角が下がりません。ありがとうございました (2月23日 20時) (レス) @page30 id: d39539a2df (このIDを非表示/違反報告)
まかろん(プロフ) - 凄く感動しました、、。 (2020年8月13日 0時) (レス) id: 45c17c16c0 (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - すごーくおもしろかったです! (2020年3月28日 10時) (レス) id: f390aacf74 (このIDを非表示/違反報告)
anao10(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れさまでした…!そわそわする展開で毎話毎話じっくりと読み込んでしまいました…笑。次回作品も楽しみです。 (2019年10月24日 0時) (レス) id: 8c68a256f2 (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!!作者様の書かれる作品は素敵な物ばかりで、本当に大好きです!!毎回、刀剣男士との距離の描き方が上手で、毎回楽しみに読んでおります!次のお話も楽しみにしてます… (2019年10月22日 23時) (レス) id: 8cdd57f528 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:杏子メロンパン | 作成日時:2019年10月6日 15時

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