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27話 ページ27

「好きな刀と同じ容姿の私を折るのは確かに辛いかもしれません。

でも、ずっと迷惑をかけ続けるくらいなら、次の私を大切に使ってくれた方がよっぽど嬉しい。
きっとお相手だってそうだと思います。
誰だって同位体が迷惑をかけるのは嫌だと思う。


だから、お願いです。行かせて下さい。」

鶴丸さんの瞳が大きく揺れる。
私は自由になった手で肩を押して、
彼の下から抜け出そうと、身動いだ瞬間だった。

「駄目だ、行かせない」

だん と、顔をの真横に手を置かれて、さらに力がかかる。
退く素振りを見せない彼に
まだ分かってくれないのかと、カッとなって
私は眉をつりあげた。

「‼ なんでですか⁉ どうして、そこまで、私を‥」
「好きだからだ‼ 」
「‥‥‥‼」
「君が好きだからだ。
君は気付いていないだろうが、俺が君を好きなことなんてこの本丸全員が知ってる。」
「い、いや、でも、他所の‥」
「どうしてそんな考えに至ったのかは分からんが、完全に勘違いだ。俺はそんなこと一度も言ったことはない。」
「‼で、でも、鶴丸さん いつも嫌そうな顔していたじゃないですか」
「それは‥‥隠してたんだ。
君が苦しんでいるのは知っていたから、あぁでもしないと表情が崩れそうで。」

絶句である。
あの恐怖さえ覚えた表情が照れ隠しだなんて
信じられない。

「悪かった。酷い発言もした自覚はある。
謝って済む問題じゃないが、俺も君が必死に努力している姿に 焦ってたんだ。」


思い返してみれば、私が変わりたいと思った理由は鶴丸さんと肩を並べたいからだった。
色々な感情に左右されすぎて、いつのまにか
本来の目的すら私は忘れていたのかもしれない。

「私、役に立ちたくて、鶴丸さんの隣に立ちたくて‥」
「そんなことで‥‥ボロボロになっていたのか?
君は十分役に立っていたじゃないか‼
なぁ、もう折れるなんて二度と言わないでくれ。」

見たこともない泣きそうな顔が迫り、
あっさりとまた塞がれた。
すぐさま注がれた霊力に頭が ぼうっと霞む。
いつもギリギリの状態で貰っていたから、霊力酔いをするのは初めてだ。
惚けた私を見て彼の琥珀色の瞳が優しげに細められたのが視界に映った。

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あめみや - 急な一期一振に口角が下がりません。ありがとうございました (2月23日 20時) (レス) @page30 id: d39539a2df (このIDを非表示/違反報告)
まかろん(プロフ) - 凄く感動しました、、。 (2020年8月13日 0時) (レス) id: 45c17c16c0 (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - すごーくおもしろかったです! (2020年3月28日 10時) (レス) id: f390aacf74 (このIDを非表示/違反報告)
anao10(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れさまでした…!そわそわする展開で毎話毎話じっくりと読み込んでしまいました…笑。次回作品も楽しみです。 (2019年10月24日 0時) (レス) id: 8c68a256f2 (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!!作者様の書かれる作品は素敵な物ばかりで、本当に大好きです!!毎回、刀剣男士との距離の描き方が上手で、毎回楽しみに読んでおります!次のお話も楽しみにしてます… (2019年10月22日 23時) (レス) id: 8cdd57f528 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:杏子メロンパン | 作成日時:2019年10月6日 15時

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