3話 ページ3
ぼんやりと目の前のご飯に手をつけていると、 唐突に
「大丈夫ですか?」
と、隣から声がかかった。
「えっ‥‥」
視線を横に向けると、心配そうにこちらを見つめる一期一振。
そういえば、隣をしっかり見ていなかったな、と今更ながら思う。
「いえ、体調が優れないように見えたので。
先程も倒れたと乱から聞きましたし‥」
「だ、大丈夫です! 少しぼーっとしていただけなので!」
「そうですか。なら、良かった。」
そう言って、微笑む一期さんの表情は
まさしく兄の顔だ。
私は 口角を上げて 作りものの笑顔を顔に貼り付けた。
‥‥大丈夫は魔法の言葉だ。
大丈夫?と聞かれたら、「うん。大丈夫」
としか返せない。
でも、私には丁度いい。自分で口に出して
「大丈夫」と言えば、そんな気分になってくる。例え嘘でも、弱音を吐くよりも何倍もマシだ。
この本丸の方達は優しい。こんな出陣さえ出来ない、出来損ないの私を気にかけてくれる。
でも、本当は
役立たずって思っていない?
本当は折れればいいとか思っていない?
戦えない、なおかつ女である私を邪魔だと思っていない?
嫌な想像がどんどんと膨らみ押し潰されそうな状態で、私は 彼等に深入りしないように、
せめて、五月蝿いだとか目障りだとか、
思われないように、静かに慎重に 丁寧に、
内番も雑用も 出来ることは全て行って、
手伝って‥‥。
いつ、自分の嫌な想像が現実となっても深く傷つかないように、
私は今日を生きている。
356人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あめみや - 急な一期一振に口角が下がりません。ありがとうございました (2月23日 20時) (レス) @page30 id: d39539a2df (このIDを非表示/違反報告)
まかろん(プロフ) - 凄く感動しました、、。 (2020年8月13日 0時) (レス) id: 45c17c16c0 (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - すごーくおもしろかったです! (2020年3月28日 10時) (レス) id: f390aacf74 (このIDを非表示/違反報告)
anao10(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れさまでした…!そわそわする展開で毎話毎話じっくりと読み込んでしまいました…笑。次回作品も楽しみです。 (2019年10月24日 0時) (レス) id: 8c68a256f2 (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!!作者様の書かれる作品は素敵な物ばかりで、本当に大好きです!!毎回、刀剣男士との距離の描き方が上手で、毎回楽しみに読んでおります!次のお話も楽しみにしてます… (2019年10月22日 23時) (レス) id: 8cdd57f528 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:杏子メロンパン | 作成日時:2019年10月6日 15時