19話 ページ19
「‥‥なんだ、これは。」
「え」
「なんで、君から一期の霊力を感じるんだ」
彼の言葉に何を言われているのか瞬時に理解する。そうだ、刀剣の中にはそういうのに鋭い刀もいたのだった。
動揺しているのか、彼の琥珀色の瞳が揺れているのが見える。
しかし、その瞳は一瞬にしていつもの軽蔑を含めたものへと変わった。
「君は霊力さえ貰えれば、誰でもいいのか。」
「っち、違う!」
「違わないだろう。俺には大丈夫だと言っておいて‥」
ギリっと掴む力が強くなり、私は痛みに顔を歪めた。振り解きたくても出来ない。
彼が怒り、そして責められているのが分かって私は頭に疑問符が踊り狂った。
どうしてそこまで怒るのだろう。
好きなのは私じゃないくせに。浅ましいって言っていたくせに。
私も私で意味が分からなくて、理不尽な気がして自棄になって、頭に血が上ってくる心地がした。
「私、もう、鶴丸さんから貰いたくないです! い、嫌、なんです!」
「なっ‥‥!」
驚いたように目を見開く鶴丸さんの表情に私はすぐに我に帰る。
「…‥‥‼ ごめ、んなさい。私‥思わず‥。その‥」
たどたどしく言葉を並べるものの、言葉は消せない。
最低だ。私、最低だ。あれだけ助けてもらってきたのに。カッとなったとはいえ、言うべき言葉はではなかった。
こんなにまだ胸が苦しいのに。
好きなのに。でも、だからこそ耐えられない。別の私と重ねられるのも、心の中で侮辱されるのも耐えられないのだ。
鶴丸さんの力が抜けて
だらんと掴まれていた腕が下される。
「君は一期が好きだったのか?俺は邪魔だったのか?」
「‥‥え、」
「‥悪かったな。」
小さく呟かれたその言葉に聞き返す暇もなく、彼は踵を返して去っていく。
引き止めようと手を伸ばしたものの、何を言えばいいのか分からず、掴むための一歩は踏み出せなかった。
私はとうとう救いようのないところまで来てしまったらしい。
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あめみや - 急な一期一振に口角が下がりません。ありがとうございました (2月23日 20時) (レス) @page30 id: d39539a2df (このIDを非表示/違反報告)
まかろん(プロフ) - 凄く感動しました、、。 (2020年8月13日 0時) (レス) id: 45c17c16c0 (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - すごーくおもしろかったです! (2020年3月28日 10時) (レス) id: f390aacf74 (このIDを非表示/違反報告)
anao10(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れさまでした…!そわそわする展開で毎話毎話じっくりと読み込んでしまいました…笑。次回作品も楽しみです。 (2019年10月24日 0時) (レス) id: 8c68a256f2 (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!!作者様の書かれる作品は素敵な物ばかりで、本当に大好きです!!毎回、刀剣男士との距離の描き方が上手で、毎回楽しみに読んでおります!次のお話も楽しみにしてます… (2019年10月22日 23時) (レス) id: 8cdd57f528 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:杏子メロンパン | 作成日時:2019年10月6日 15時