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18話 ページ18

や、やってしまった。身体は先程までの苦しみが嘘のように軽くて、変に覚醒した頭に記憶が蘇る。酷く自責の念に駆られて当然何にも手につかなかった。

「鶴丸殿に頼れないのなら私があげますよ。」
去り際に言われたのはなんとも言えない提案だった。
一体いつから私は鶴丸さんの霊力でなければならないと錯覚していたのだろう。
結局、彼の心が自分に向くことはないと分かっていながら、彼に触れられる機会に私はみっともなくしがみついていたらしい。
他の方からから貰うなんて考えもしなかった。苦しい時はいつも彼の名前だけを呼んで‥。
なんて、醜い。浅ましすぎる。恥ずかしくてたまらない。


一期さんはあぁ言ったが、刀剣なら誰でも霊力を与えられるの分かったからといって、取っ替え引っ替えはしたくないし、かといって鶴丸さんにも貰うのも嫌だ。でも、霊力がないと私は今回みたいなことになる。
もう、踏んだり蹴ったりだ。完全に追い詰められた。



しばらくの間、どうしたもんかと、ぼけっとしていると遠征帰還の鈴の音にはっと我に帰る。
しまった。洗濯、まだ終わっていない。なんてことだ、いつもは主様と一緒に出迎えるのに。

急いでカゴを持ち廊下を走る。
今更、門に向かっても遅いとは分かっているが、せめて隊長に声は掛けよう。
そう思って向かったものの、運が悪いのか、隊長ではなく、鶴丸さんと思いっきり鉢合わせしてしまった。
「‥‥‥‼‼」
曲がり角でばったりだ。
逃げるように別れたこともあり、気まずい。
しかし、ここで引き返せば避けてますと アピールするようなものだ。
腹をくくるしかない。
お疲れ様です と、小さく頭を下げてすれ違おうと試みた。
出来る限り目線を下げて、目を合わせないように。
‥‥が、

「おい! 君っ!」

パシッと腕を掴まれた。

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あめみや - 急な一期一振に口角が下がりません。ありがとうございました (2月23日 20時) (レス) @page30 id: d39539a2df (このIDを非表示/違反報告)
まかろん(プロフ) - 凄く感動しました、、。 (2020年8月13日 0時) (レス) id: 45c17c16c0 (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - すごーくおもしろかったです! (2020年3月28日 10時) (レス) id: f390aacf74 (このIDを非表示/違反報告)
anao10(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れさまでした…!そわそわする展開で毎話毎話じっくりと読み込んでしまいました…笑。次回作品も楽しみです。 (2019年10月24日 0時) (レス) id: 8c68a256f2 (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!!作者様の書かれる作品は素敵な物ばかりで、本当に大好きです!!毎回、刀剣男士との距離の描き方が上手で、毎回楽しみに読んでおります!次のお話も楽しみにしてます… (2019年10月22日 23時) (レス) id: 8cdd57f528 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:杏子メロンパン | 作成日時:2019年10月6日 15時

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